2004 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本社会における「ホームレス問題」への社会的対応の実証的研究
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03J02062
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
北川 由紀彦 東洋大学, 社会学部, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 都市下層 / 野宿者 / ホームレス / 社会福祉 / 社会運動 / 権力 / 貧困 / 差別 |
Research Abstract |
本年度は、東京都のホームレス対策の主軸をなすホームレス自立支援システムの実効性と問題点を明らかにするための実態調査を主に行った。具体的には、自立支援センターの利用経験があり、かっ、現在路上生活状態にある人々を、公園、路上等において探索し、21名の対象者に対しインタビュー調査を行った。また、他方で、都内の自立支援センター5ヶ所の職員および大阪市の自立支援センター1ヶ所の職員に対し、施設における指導・援助の方針等に関するインタビュー調査を行った。その結果、(1)自立支援センターにおいて目標とされている「就労自立」の形態と利用者が望む「就労自立」の形態とは必ずしも一致していないこと、(2)自立支援センターにおける指導・援助内容に幅があること、(3)センターの立地、設備、指導・援助内容が、利用者の行為に大きな影響を与えていること、(4)労働市場の動向に関して、利用者の認識と施設職員の認識に看過できない差異があること、などが明らかになった。 他方、東京都が自立支援事業とは別に2004年度より新たに開始した「ホームレス対策」である「地域生活移行支援事業」に関して、事業の具体的な内容の把握、および、民間のホームレス支援団体(複数)の動向の把握につとめた。具体的な方法としては、行政による説明会、支援団体の日常活動および諸団体による会合への参与観察とヒアリングを行った。その結果、(a)事業がその実施の局面において「支援」と「排除」(公園等の「適正化」)の2つの側面を併せ持っていること、(b)支援団体の側は事業の「支援」面の不十分さの是正と「排除」への抵抗という2つの局面において活動を展開していることなどが明らかになった。
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Research Products
(1 results)