2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射化学的手法による断層活動に伴う電磁気現象のメカニズム解明
Project/Area Number |
03J02077
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
竹内 昭洋 新潟大学, 自然科学系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地震電磁気現象 / 岩石破壊 / 電荷 / 欠陥 / 熱ルミネッセンス / 放射化学 / 国際研究者交流 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
1.特別研究員奨励費で購入したフルイを用いて摩砕した石英粒子を分級し、熱ルミネッセンス強度の粒径依存性を調べた結果、粒径の小さなサンプルほど発光強度の小さいことが確認された。この事から、石英粒子表面付近の熱ルミネッセンス中心が電子との再結合または結晶構造の破壊を起こしていると考えられる。この結果から、熱ルミネッセンスを用いた断層運動の年代測定は極微粒子のガウジを用いた時のみに適用の可能性が残されていると考えられる。また、焼成考古遺物等のサンプルから石英粒子を抽出する際の破砕によるルミネッセンス強度への影響はほぼ無視できることが分かった。 これら研究成果を、一度の国際学会および二度の国内学会において発表した。 2.プレカットしたシリンダー状の石英ペグマタイトを三軸圧縮し、スティック・スリップの際に発生する電磁波を二種類のコイルを用いて測定した。電磁波の指向性から、電磁波は石英の圧電効果による成分とスリップ面上に現れる表面電荷による成分からなるというモデルを提唱した。地震の際にも、同様な電磁波が発生し、地殻が乾燥していれば地表面に達することも可能であると考えられた。 これら研究成果を、国際学術雑誌に一報発表した。 3.8月の一ヶ月間、メリーランド大学カレッジパーク校およびアメリカ航空宇宙局ゴダード宇宙航空研究所に赴いた。そこで数種類の岩石サンプルおよび人工石英を部分的に一軸圧縮した結果、サンプルの圧縮部分からその周りの非圧縮部分への正電荷の流れが確認できた。この電荷の正体は、圧縮によって切断されたポジティブ・ホール・ペア欠陥から放出された正孔であると考えられる。地震発生前に断層が活発化する際にも、この正孔が断層帯から放出されていると予想される。この正孔が地震に先行した諸電磁気現象の原因になっていると考えられる。移動費・滞在費は渡航先が負担した。 これら研究成果を、一度の国際学会において発表し、国際学術雑誌に二報発表した。
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Research Products
(3 results)