2003 Fiscal Year Annual Research Report
数論におけるディリクレ級数に対する普遍性定理の精密化と確率的値分布の研究
Project/Area Number |
03J02083
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
名越 弘文 新潟大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ディリクレL関数 / 普遍性定理 / レルヒ・ゼータ関数 / 2次体 / 類数 / 判別式 / 指標和 |
Research Abstract |
数論的L関数の解析的研究のうちVoroninによってはじまった普遍性定理に関する研究を私は計画していたが、今年度では、大きく分けて三つのテーマの研究成果を出すことが出来た。 まず、一つ目の研究成果は、L関数のt-aspect以外の普遍性についてである。これは、見正秀彦氏との共同研究で行われた。既約な実指標に付随するディリクレL関数について、実指標を動かしたときのL関数の族の普遍性定理を得た。これは、実質、二次体のデデキント・ゼータ関数の族の普遍性である。また、実指標を特に基本判別式の絶対値が素数であるものに制限しても、同様な普遍性定理が成立することを証明した。また、これらの研究の一環として、ある指標和についての古典的問題についてある定量的な結果が得られることが分かり、これまで知られていた結果を超えるものが得られた。これらの成果は三本の論文にまとめられ、現在投稿中である。 次に、二つ目の研究成果は、Lerchゼータ関数に対するt-aspectの同時普遍性についてである。これまでに知られていた証明方法とは違うアイデアを用いることにより、新しいタイプの同時普遍性を得ることに成功した。この研究をまとめた論文は、現在作成中である。 三つ目の研究成果は、二次体の類数の平均についてである。関連するものとして、古くはガウスによる予想があり、これまで様々な研究者が研究した。私は、二次体を判別式の絶対値が素数であるものに制限したときの二次体の類数の平均について、一乗平均だけでなくすべてのモーメントについての結果を得ることが出来た。またそれにより、これまでに知られていたある結果の別証明を得ることが出来た。これらの研究をまとめた論文は、現在作成中である。 以上の研究は、日本数学会の2003年度秋季総合分科会と2004年度年会、京都数理解析研究所で行われた解析数論の研究集会で発表され、また、日本数学会の2004年度秋季総合分科会でも発表する予定である。
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