2003 Fiscal Year Annual Research Report
ギガヘルツ超音波計測の開発と正方晶系希土類化合物のf電子状態の研究
Project/Area Number |
03J02108
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
柳澤 達也 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 四重極子秩序 / 超音波 / 熱膨張 / 強磁場 / 八重極子 |
Research Abstract |
本研究では、正方晶系化合物で初めて反強四重極子(AFQ)秩序を示す物質として注目されたDyB_2C_2とHoB_2C_2を取り上げ、弾性定数の測定を系統的に行い、四重極子秩序を研究する。 DyB_2C_2の横波弾性定数C_<44>,C_<66>,(C_<11>-C_<12>)/2にソフト化を観測した。四重極子感受率による解析を行い、DyB_2C_2の結晶場パラメータを決定した。基底状態はE_<1/2>対称性とE_<3/2>対称性のクラマース二重項が1.7Kで擬縮退する擬四重項であると結論づけた。HoB_2C_2の超音波実験から横波弾性定数C_<44>,C_<66>,(C_<11>-C_<12>)/2にソフト化を観測した。またIV相内における超音波吸収実験により求められた緩和時間τ=7×10^<-9>secは、IV相内で四重極子O_<yz>,O_<zx>の揺らぎが生じていることを示している。 さらに、物質・材料研究機構のハイブリッドマグネット(GAMA)を用いてH=30Tまでの強磁場領域の磁気相図を研究した。HoB_2C_2の超音波実験から新たにH//[001]方向でH>4Tの領域にAFQ相(II相)を発見した。またII相の臨界磁場はDyB_2C_2とHoB_2C_2でそれぞれH_<c[001]>=15.8T, H_<c[001]>=26.3Tであることがわかった。両物質のH//[001]方向の高磁場領域に存在するII相は[001]方向の磁場に対するAFQ秩序の安定性を示している。 HoB_2C_2のIV相に関して三端子キャパシタンス法による熱膨張実験を行った。その結果IV相内において自発歪みε_<yz>(=ε_<zx>)≠0が生じていることが解った。DyB_2C_2で決定した結晶場パラメータをHoB_2C_2に適用すると結晶場基底状態は擬五重縮退をもち、全ての八重極子が自由度を持つ。その中で八重極子T^α_x+T^α_y+T^α_zは、自発歪みε_<yz>,ε_<zx>に関係する四重極子O_<yz>,O_<zx>と、c面内に成分を持つ長周期磁気構造に関係した磁気双極子J_x,J_yを同時に誘起する。そのためIV相の秩序変数は八重極子T^α_x+T^α_y+T^α_zである可能性が考えられる。
|
-
[Publications] Tatuya Yanagisawa: "Ultrasonic investigation of quadrupole ordering in HoB_2C_2"Phys.Rev.B. 67. 115-129 (2003)
-
[Publications] Yuichi Nemoto: "Elastic constants of antiferro-quadrupole ordering system DyB_2C_2"Physica B. 329-333. 641-642 (2003)
-
[Publications] Tatuya Yanagisawa: "Ultrasonic study of antiferro-quadrupole ordering in HoB_2C_2"Physica B. 329-333. 624-625 (2003)
-
[Publications] Terutaka Goto: "Quadrupole and lattice effects of orbitally degenerate 4f-electron systems"J.Phys. : Condens.Mater.. 15. S2101-S2107 (2003)