2004 Fiscal Year Annual Research Report
ギガヘルツ超音波計測の開発と正方晶系希土類化合物のf電子状態の研究
Project/Area Number |
03J02108
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
柳澤 達也 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 四極子秩序 / 超音波 / 強磁場 / 八極子 / 充填スクッテルダイト / 超伝導 / 国際研究者交流 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
1 HoB_2C_2のIV相に関して行った熱膨張実験と、物質・材料研究機構のハイブリッドマグネットを用いて行った超音波実験によって得られた弾性定数・H-T相図を考察した結果、以下の結論が得られた。 (1)対称性の低下により、立方晶においてΓ_4対称性とΓ_5対称性に区分されていた八極子が、正方晶系においては混合して現れる。IV相の秩序変数は<T_x>・=<T_y>=<T_z>≠0と結論した。 (2)H-T相図の強い磁気異方性より、HoB_2C_2の八極子相互作用にも異方性があることがわかった。その結果、八極子秩序<T_x>=<T_y>=<Tz>≠0によって誘起される強四極子モーメントにも異方性が現れる。これは熱膨張測定によって得られた結果ε_<zx><ε_<yz>=ε_<zx>=1.2×10^<-4>とも一致する。 2 充填スクッテルダイトPrOs_4Sb_<12>の超音波実験に共同研究として参加した。PrOs_4Sb_<12>のでは、カゴ状化合物La_3Pd_<20>Ge_6とCe_3Pd_<20>Ge_6で発見された希土類イオンのラットリング振動に類似した弾性定数の分散を観測した。また、磁場中でのPrOs_4Sb_<12>の弾性定数を四極子感受率によって解析し、結晶場基底状態をΓ_1対称性と結論づけた。 3 申請者は平成16年4月から渡米し、カリフォルニア大サンディエゴ校のMaple研究室で充填スクッテルダイトの研究を行った。超音波実験を行うために、LaOs_4Sb_<12>,LaRu_4Sb_<12>,La(Os_<0.5>Ru_<0.5>)_4Sb_<12>の単結晶作成を試み、La(Os_<0.5>Ru_<0.5>)_4Sb_<12>の単結晶を得ることに成功した。日本に試料を持ち帰り、新潟大学後藤研究室で^3He冷凍機を用いた超音波測定を行い、PrOs_4Sb_<12>で観測されたラットリングに起因する超音波分散と同様の弾性異常を観測した。
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