2004 Fiscal Year Annual Research Report
ムスリム主導国家における宗教指導者層の「国家官僚化」と政権安定度に関する比較研究
Project/Area Number |
03J02146
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
濱四津 菊枝 上智大学, 外国語学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | イスラムと政治 / 比較政治 / 宗教と政治 / マレーシア:インドネシア / 官僚制度 |
Research Abstract |
本年度の主な成果は、これまで東南アジア地域(特にマレーシア、インドネシア)に限定しておこなってきた宗教指導者層と国家関係の比較研究の対象枠組みを広げたこと。中近東、南アジア諸国のケースを参照に、さらに理論的な検証を進めた。また、昨年度から行っているマレーシア、インドネシアのケース分析、執筆をさらに進めた。 具体的には次の研究成果を上げることが出来た。 (1)これまで、マレーシアを対象に、国家の宗教介入の度合、形態が政権維持に及ぼす影響という問題を明白にするために、宗教指導者層が国家官僚組織に組み込まれていく現象に着目。この官僚組織化の度合が強い場合、政権のイスラム社会運動、およびイスラム過激派の制圧能力にポジティブな効果をもたらす、とういう仮定を設定。この仮定の一般相対化を課題に、他のイスラム国のケースを検証。仮定の証明にはさらに綿密な分析を要するが、仮定提起という点から、その問題点を「東南アジアにおける宗教と政治」というテーマで執筆した論文に発表。スタンフォード大学でおこなわれた、東南アジア比較政治プロジェクトで口頭発表。また、執筆した原稿の改訂編集を進めている。 (2)昨年から、教育分野に焦点をあて、政府がいかに宗教教育、宗教学校の行政、管理、養成に関わってきたかを、マレーシアとインドネシアのケースを用いて比較分析。その成果を論文にまとめた。英語雑誌に投稿予定。 (3)宗教指導者層と国家の関係と、政権安定度を考察する際、歴史的要素(特に植民政府の政策)が重要な影響を及ぼすという点に着目。マレーシアとインドネシアの植民地下の政策を比較分析、一章にまとめる。
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Research Products
(1 results)