2004 Fiscal Year Annual Research Report
前頭前野領域を中心とする高次脳機能の、神経回路アーキテクチャとしての解析
Project/Area Number |
03J02170
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
山下 幸樹 上智大学, 理工学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 前頭前野 / ドーパミン / ワーキング・メモリ / 中脳 / レギュレータ |
Research Abstract |
平成16年度における私の研究の焦点は、前頭前野内ドーパミンの安定調節メカニズムを、モデル神経回路のシミュレーション、およびモデル解析の両面から分析することであった。シミュレーションモデルに関しては、所属研究室にて従来から用いられてきたleaky integrate-and-fire neuron modelに改良を加えたものを使用した。結果として、前頭前野と中脳間にある閉ループ回路が、前頭前野内ドーパミンレベルを最適レベルに安定化することができるということがわかった。また、この安定化には、前頭前野から中脳に対するフィードバック投射が非常に重要であるということもパラメトリックシミュレーションにより明らかとなった。さらに、中脳に対する脱抑制性の信号は、最適下レベルのドーパミン放出を実現するのに必須であるということも示唆された。 以上の研究から得られた結果についてより理論的な証拠を示すために、今年度後半ではシミュレーションモデルを簡略化して解析モデルを構築し、そのモデルにより安定性解析を行った。解析結果はシミュレーションモデルから得られた結果を完全に保証するものであり、以下に示すものが主な結果である: ・前頭前野-中脳閉ループ回路によって調節されるドーパミンレベルは、最適値点で安定点をもつことができる(レギュレータ機能)。 ・ドーパミンレベルの安定領域は、回路パラメータによって変化する。特に、特に、最適下領域を広げるには、脱抑制の信号と弱いフィードバック信号が必要であるし、また超最適領域に関しては皮質からの強いフィードバック信号が必要となった。 なお、これらの研究結果に関しては、現在印刷中の論文および、査読中の論文に掲載した。
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Research Products
(2 results)