2003 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌食性自由生活性線虫とその媒介者の相利共生関係
Project/Area Number |
03J02197
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
神崎 菜摘 鹿児島大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 相利共生系 / 昆虫嗜好性線虫 / 媒介昆虫 / 寄主樹木 / 昆虫病原性糸状菌 / Bursaphelenchus属線虫 / キボシカミキリ / マツノマダラカミキリ |
Research Abstract |
本申請研究は、糸状菌食性自由生活性線虫とその媒介者の相利共生関係の存在を実験的に証明することを目的として、1)資源獲得をめぐる相利共生(媒介昆虫の食樹・産卵木であるアカマツに対して線虫が病原力を有しているという可能性)、2)媒介昆虫の生存に関する相利共生の可能性(昆虫病原性糸状菌を線虫が駆除している可能性)を探るものである。 平成15年度は、これらの広範な予備試験として、1)線虫類の植物に対する病原力発現の条件探索、及び、2)実験に用いる昆虫病原性糸状菌の病原力の検定を行った。これらの予備試験の結果、まず、線虫類の病原力発現条件の探索では、アカマツに対して5月から現在まで継続的に強度(約60%)の被陰処理を行ったところ、アカマツは被陰処理のみでは枯死にいたることはないものの、成長量の減少、生理活性の低下が観察された。また、予備的に行った線虫接種試験においても被陰処理によるアカマツの線虫に対する抵抗力の低下が観察された。これらの結果に基づき、来年度以降に本試験を行う予定である。一方、昆虫病原性糸状菌の病原力検定試験では、本試験に用いたキボシカミキリとBeauveria brongniartiiの組み合わせでは、糸状菌の病原力はカミキリの成虫に対しては非常に強いが、幼虫や蛹に対しては当初の予想以上に弱いという結果が観察された。当初は、本菌をカミキリの幼虫に対して用いる予定であったが、この結果から考えると、計画を一部変更し、成虫を用いた実験系を構築する必要があり、現在これを検討中である。 また、本申請研究のより好適な材料を探索するため、複数種の甲虫類を対象としてその線虫保持状況を調査したところ、いくつかの未記載線虫種を得たため、これらの記載を現在進行中である。この甲虫類の線虫相調査は、来年度以降も継続する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kanzaki, N., Futai, K.: "Description and phylogeny of Bursaphelenchus luxuriosae n.sp.(Nematoda : Aphelenchoididae) isolated from Acalolepta luxuriosa (Coleoptera : Cerambycidae)"Nematology. 5・4. 565-572 (2003)
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[Publications] Kanzaki, N., Futai, K.: "Application of molecular phylogenetic analysis to the evolution and co-speciation of entomophilic nematodes."Russian Journal of Nematology. 11・2. 107-117 (2003)
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[Publications] Iwahori, H., Kanzaki, N., Futai, K.: "Bursaphelenchus xylophilus and B.mucronatus in Japan : where are they from?"Nematology Monographs & Perspectives. 2(印刷中). (2004)