2004 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌食性自由生活性線虫とその媒介者の相利共生関係
Project/Area Number |
03J02197
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
神崎 菜摘 鹿児島大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 相利共生 / 片利共生 / 寄生 / 生物進化 / 生物間相互作用 / 昆虫嗜好性線虫 / 食材性甲虫 |
Research Abstract |
本研究は、線虫と媒介者の関係が昆虫嗜好性(片利共生)から、相利共生へと進化した、すなわち、昆虫を媒介者としてのみ利用する便乗関係にある線虫が、糸状菌を摂食することにより、昆虫病原菌による媒介昆虫の死亡リスクを低減するという第一の相利共生関係が成立し、これがさらに進んで線虫が植物に対して病原菌を持ち、媒介者である食材性昆虫の資源獲得を容易にする、という仮説を実験的に証明しようとするものである。 まず、最初の媒介昆虫の天敵による死亡率の制御に関する相利共生に関しては、本年度は予備試験を行い、昆虫病原菌の種、および接種濃度の適正化を図った。この結果、当初使用を予定していたボーベリア菌では、本研究における昆虫の死亡率を適正に評価することが難しいという結論に達したため、現在、他の候補菌を検討している。 次に、資源獲得を巡る相利共生に関しては、これまでに本実験を終了し、これまで植物病原性はないといわれていた一部の線虫種が、弱い植物病原力を有しており、衰弱した寄種植物を枯死させることができるということが明らかになった。この結果に関しては、投稿論文として取りまとめ、発表を予定している。 また、本研究において、より適正な実験材料を探索すべく、カミキリムシ類を中心に広い範囲の甲虫類を採集し、その保持線虫の調査を行った。この結果、数種類の未記載線虫種を検出したため、一部はすでに投稿論文として新種記載を行い、その他の種に関しても投稿論文を取りまとめている。また、この過程で、本研究の材料として用いているBursaphelenchus属線虫が昆虫に対して寄生性を有している可能性が示されたため、この点についても現在解析を行っている。
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Research Products
(3 results)