2003 Fiscal Year Annual Research Report
都市内農地の地域環境形成に果たす役割を踏まえた保全計画論
Project/Area Number |
03J02242
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡辺 貴史 筑波大学, 社会工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 都市内農地 / 開放性 / コンピューターグラフィックス / 生産緑地法 / 追加指定 / 買い取り請求 / ナショナルヒストリックサイト制度 / 都市住民と関わる農業活動 |
Research Abstract |
本研究では,地域環境形成に資する都市内農地の保全計画の構築に関わる以下の成果を得た. 保全の対象とすべき都市内農地の土地利用形態の解明に関しては,快適な居住環境形成に果たす農地の役割に着目した.具体的には,農地が有する景観的な広がりを,開放性の不足する高密な都市近郊市街地における快適な居住環境形成に資する働きと捉えた.そして,都市内農地と市街地の分布形態と開放性発現の関係について,コンピューターグラフィックスを用いた心理評価実験から明らかにした.その結果,開放性評価は,市街地と農地がまとまっている分布形態の方が高いものの,ちらばっている分布形態のなかには,まとまっている分布形態と同じくらいの評価がされる場合もあった. 農地を計画的に保全するための法制度の構築に向けて,生産緑地法の運用実態を検討した.具体的には,生産緑地法の買い取り請求と追加指定に着目し,その運用実態を検討した.その結果,1)多くの自治体では,追加指定の運用方針を所持している一方で,買い取り請求に対する運用方針を所持する自治体は少ない.2)追加指定の運用方針は,追加指定の採択に効果をもたらしている.また,その運用方針の内容の一部には,居住環境の形成に資する農地を追加指定する工夫がみられた.ことなどを明らかにした.また,日本と海外の農地保全制度の比較を行うために,カナダのナショナルヒストリックサイト制度に着目し,その運用実態を解明した. 保全すべき土地利用形態の解明と農地保全に関わる法制度の構築とともに,農地の管理主体に関する研究も行った.具体的には,直販,市民農園等の都市住民と関わる農業活動に対する農家の対応を,アンケート・ヒアリングから明らかにした.その結果,1)半数以上の農家が都市住民と関わる農業活動を行っていた.2)都市住民と関わる農業活動に熱心な農家は,農業経営に優れた農家が多いことなどを明らかにした.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 渡辺貴史, 横張真: "開放性発現に資する都市内農地の分布形態の解明"ランドスケープ研究. 66(5). 841-846 (2003)
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[Publications] 渡辺貴史, 大村謙二郎, 横張真: "首都圏地方自治体における生産緑地法の買い取り請求と追加指定の運用実態に関する検討"都市住宅学. 43. 138-143 (2003)
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[Publications] 中島満香, 横張真, 渡辺貴史: "歴史的農村景観の保全からみたカナダのナショナルヒストリックサイト制度の特徴"都市計画論文集. 38. 559-564 (2003)
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[Publications] 渡辺貴史, 横張真, 松澤龍人: "東京都における都市住民と関わる農業活動に対する農家の対応"都市計画論文集. 38. 637-642 (2003)