2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市内農地の地域環境形成に果たす役割を踏まえた保全計画論
Project/Area Number |
03J02242
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
渡辺 貴史 独立行政法人国立環境研究所, 生物多様性研究プロジェクト, 特別研究員(PD)
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Keywords | ため池 / 水生植物 / 管理者 / 物質循環システム / 生ゴミ堆肥 / 未利用地活用型オープンスペース |
Research Abstract |
保全すべき都市内農地の土地利用形態の解明に関しては,小規模物質循環機能に着目した.今回は,小規模物質循環システムに対する生産者と消費者の協力意向を明らかにした.その結果,(1)半数以上の生産者と消費者が,小規模物質循環システムへの協力に対して積極的な意向を持っていた.(2)生ゴミ堆肥などの有機性資源のやりとりでは,生産者と消費者が直接関わる方が協力を得られやすかった.(3)生ゴミ堆肥を利用した野菜のやりとりも,生産者と消費者とともに,両者が直接関わる方が協力を得られやすかった.これらから,小規模物質循環システムの適性を評価する手法を構築する際には,変数に生ゴミ堆肥や野菜のやり取りを設定する必要が示された. 都市内農地の保全に対する地域住民の対応に関しては,水供給の側面で都市内農地と深く関わっている農業用ため池の管理活動に対する管理者の対応に着目した.今回は,ため池の管理活動のなかでも水質改善など高い生態的機能を持つ水生植物の保全活動に対するため池管理者の意識を明らかにした.その結果,(1)約2割強の管理者が水生植物の保全に強い関心を持っていた.(2)水生植物の保全に関心を持つ管理者の割合に応じて,自治体は3タイプに分けられた.保全に関心を持つ管理者の多くは,ため池の生物喪失に対して関心を持っていることなどが明らかとなった.これらから,水生植物の保全をため池管理者に行ってもらうためには,ため池の生物が喪失していることを,普及・啓発する必要が示された. 都市内農地として保全すべき対象を再検討するために,東京都特別区の未利用地活用型オープンスペースの空間的特徴と周辺環境との関係を明らかにした.その結果,区内の密集市街地内の未利用地活用型オープンスペースにおいても,農業的土地利用が確認された.これらから,都市内農地として保全すべき対象としては,地目上農地とは認められていない空間も含める必要が示された.
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Research Products
(3 results)