2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J02287
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
土手 昭伸 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | K^-中間子 / 軽い原子核 / 核構造 / 反対称化分子動力学 / 高密度 / ストレンジ・トライバリオン |
Research Abstract |
私は「K^-中間子が束縛された原子核(以下K原子核)」を、反対称化分子動力学法により系統的に調べている。KN相互作用はアイソスピン0のチャネルにおいて非常に強い引力であるため、K^-は核内に非常に深く束縛されると考えられる。その結果主な崩壊チャネル(Σπチャネル)が閉じ、K原子核はdiscreteな状態として存在可能となる。K^-が周囲の核子を強く引き寄せ、高密度状態が核内に生じると予想される。 昨年、岩崎氏(理研)らにより、二つのK原子核(後にストレンジ・トライバリオンと呼ばれる)、ppnK^-(K^-が^3Heに束縛されたK原子核)、pnnK^-(同じく^3Hに束縛)が発見された。我々の予想通り、これらは非常に深く束縛していたが、1、ppnK^-は我々の予想以上に深く束縛。我々の計算では120MeV束縛に対し、実験値は170MeV。2、当初予想していなかったppnK^-がppnK^-よりも深く束縛。(195MeV)という相違点があった。 我々はこれらの点を以下のように解釈した。 1、高密度であるため相対論的効果が重要になる。またKN相互作用自体が変化している可能性が考えられる。これらを考慮し、私の計算では僅か14%程度KN相互作用が強くなっているとすれば、実験値を説明できる。 2、pnnK^-の核子系は単純な(0s)^3配位ではなく、(0s)^2(0p)であると考えられる。一つの核子をp軌道に上げることでKN相互作用の大きな引力をより稼ぐことが可能となる。p軌道の核子は核子間LS力による引力を感じ、更にこの状態は深く束縛することができる。しかも高密度であるためLS力の寄与は非常に大きい。こうしてpnnK^-はppnK^-より深く束縛していると考えられる。
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Research Products
(3 results)