2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J02287
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
土手 昭伸 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | K^-中間子 / 軽い原子核 / 核構造 / 反対称化分子動力学 / 高密度 / ストレンジ・トライバリオン / KN相互作用 |
Research Abstract |
私は「K^-中間子が束縛された原子核(以下K原子核)」を、反対称化分子動力学法により系統的に調べている。KN相互作用はアイソスピン0のチャネルにおいて非常に強い引力であるため、K^-は核内に非常に深く束縛されると考えられる。その結果主な崩壊チャネル(Σπチャネル)が閉じ、K原子核はdiscreteな状態として存在可能となる。K^-が周囲の核子を強く引き寄せ、高密度状態が核内に生じると予想される。 また近年、岩崎氏(理研)らにより、二つのK原子核(後にストレンジ・トライバリオンと呼ばれる)、ppnK^-(K^-が^3Heに束縛されたK原子核)、ppK^-(同じく^3Hに束縛)が発見された。更には永江氏(KEK)らにより、ppK^-(二つの陽子にK^-が束縛)も発見されて、理論・実験共に非常にホットな段階にある。 これら実験で見つかった状態は、私の予想より深く束縛していた。昨年度の研究では、この差を説明するにはKN相互作用が14%程度元のものより強くすることが必要であった。今までの研究では相互作用に状態依存性を考慮していなかったが、W.Weise氏(ミュンヘン工科大)との共同研究により、p波型のKN相互作用が重要である可能性を指摘した。p波型相互作用は微分を持つため、我々が今まで指摘してきたように、K原子核が高密度状態であれば、非常に大きな寄与を及ぼす。その結果、実験で観測されたほどの非常に深い束縛状態が形成されていると考えられる。
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Research Products
(1 results)