2003 Fiscal Year Annual Research Report
B^0→η´K_s崩壊を用いた標準理論を越えるCPの破れの探索
Project/Area Number |
03J02291
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 康二 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | CP対称性 / 標準理論 / B中間子 / 素粒子実験 / 新物理探索 |
Research Abstract |
中性B中間子のη´K_s崩壊を始めとする、bクォークからsクォークへの、いわゆるペンギン崩壊におけるCPの破れの測定を行い、標準理論を超える現象の探索を行った。標準理論では、このCPの破れは、小林・益川行列のパラメータsin2φ_1になるが、標準理論を超える物理による寄与が存在すれば、ずれが観測される。 高エネルギー加速器研究機構で行われているBelle実験にて蓄積された、2003年夏までの約1億5千万個の中性B中間子崩壊データを解析し、η´K_s崩壊として約240事象を得た。また、これに加え、同じくbクォークからsクォークへのペンギン崩壊として、K^+K^-K_s崩壊、ΦK_s崩壊についても解析を行い、それぞれ約200事象、約67事象を得た。 基準となるsin2Φ_1は、中性B中間子のJ/ΨK_s崩壊などの、標準理論を超える物理からの影響を受けない、bクォークからcクオークへのツリー崩壊による崩壊モード約5000事象を用いて測定した。 これらの事象を用い、CPの破れを測定した。J/ΨK_s等からは、標準理論の基準となるsin2Φ_1として、世界平均値に一致する値を得た。bクォークからsクォークへのペンギン崩壊モードのうち、η´K_s、K^+K^-K_s崩壊については、現在の精度では、J/ΨK_s等から得られたsin2Φ_1からの有意な差は見られなかった。一方、ΦK_s崩壊においては、sin2Φ_1の世界平均値0.731±0.056に対し、-0.96±0.50(統計誤差)^<+0.09>_<-0.11>(系統誤差)、と99.95%の有意度で差を観測し、ΦK_s崩壊において標準理論を超える物理の寄与が存在する可能性を示唆する結果が得られた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Abe, et al.(Belle Collaboration): "Measurement of Time-Dependent CP-Violating Asymmetries in B^0→φK_s, K^+K^-K_s, and η×K_s Decays"Physical Review Letters. 91. 261602 (2003)