2003 Fiscal Year Annual Research Report
液体中における鉄原子のダイナミクスの核共鳴散乱による研究
Project/Area Number |
03J02292
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
春木 理恵 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 核共鳴散乱 / 分子振動モード / 溶液 / イオン / 拡散運動 / メスバウアー効果 / Fe-57 |
Research Abstract |
核共鳴前方散乱用の多素子型アバラシシェ・フォトダイオード検出器、1×2mm^2の2×4素子の組立てを行ない、性能を評価した。単素子から多素子に変更する過程において、プリアンプの電源のパワー不足から来る素子の性能劣化の改善を行なった。核共鳴非弾性散乱用の多素子型アバランシェ・フォトダイオード検出器、3×5mm^2の2×4素子の組立てを行ない、PF-ARのNE3実験ステーションでの実験に用い、NE3での核共鳴非弾性散乱実験においてこれまでの単素子に比べて検出効率が数倍になった。3×5mm^2、5×5mm^2の単素子透過型アバランシェ・フォトダイオード検出器の組立てを行ない、従来ある5×5mm^2の検出器と組み合わせて、PF-ARのNE3実験ステーションでの核共鳴前方散乱実験に用いた。核共鳴前方散乱実験においてこれまでの単素子に比べて、検出効率が倍以上になった。 熊本大学工学部の冨永昌人氏との共同研究により、鉄貯蔵蛋白質フェリチンのSPring-8、BL11XUでの核共鳴非弾性散乱実験を行ない、蛋白質内部に貯蔵された鉄原子の状態を測定した。またより鉄の貯蔵の初期段階を調べるための次の実験に向けて、鉄の貯蔵量の少ないフェリチンを、核共鳴散乱実験に合わせて、鉄の安定同位体Fe-57で富化したサンプルを用意した。 日本物理学会第59年次大会において、SPring-8、BL09XUで行なった鉄シアノ錯体の水溶液中におけるダイナミクスの核共鳴散乱実験による研究についての発表を行なった。水溶液中の鉄シアノ錯体は配位子を含めた錯体全体の質量を考慮したものが、拡散運動していることで説明できることが分かった。分子振動モードは固体から得られたものと同じエネルギー位置に見られている。詳細についてはすぐに論文にまとめて公表する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Seto, S.Kitao, Y.Kobayashi, R.Haruki, Y.Yoda, T.Mitsui, T.Ishikawa: "Site-Specific Phonon Density od States Discerned using Electronic States"Physical Review Letters. Vol.91,No.18. 185505-1-185505-4 (2003)