2003 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱菌の新規キチン代謝経路とその制御機構に関する研究
Project/Area Number |
03J02342
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
田中 丈士 関西学院大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | chitin / exo-β-glucosaminidase / Archaea / 超好熱菌 / バイオマス / 耐熱性酵素 / 糖質関連酵素 / 代謝経路 |
Research Abstract |
これまでに超好熱始原菌Thermococcuskodakaraensis KOD1株に新規キチン代謝経路が存在していることを明らかにしている。 平成15年度は、まず、本菌のキチン代謝経路で唯一未解明であるグルコサミン(GlcN)のリン酸化を行う酵素、GlcN kinaseの単離を試みた。しかし、他のキチン代謝系酵素が誘導される条件(0.1%GlcNAc_2存在下)で培養した菌の抽出液に顕著なGlcN kiase活性を検出できなかった。 一方で、新規代謝経路において機能する酵素の1つ、exo-β-glucosaminidase(GlmA)に関する論文のための追加実験を行った。GlmAは高分子キトサンにも弱い分解活性を示すことや、その発現が基質であるGlcN_2では誘導されないことなどのデータを追加し、論文が受理された。本内容により、国際学会Thermophiles 2003(Exeter, UK、平成15年9月)でベストポスター賞を受賞した。 また、新規代謝経路に関与するもう1つの酵素、GlcNAc_2 deacetylase(Dac)に関する研究も行った。異なる重合度のキチンオリゴ糖(GlcNAc_<1-3>)に対するDacの反応動力学定数を決定し、菌体内において新規代謝経路で基質となると考えられる単糖と二糖を効率良く分解することが判明した。更に、GlmAとDacをそれぞれ認識する抗体を用いた本菌の抽出液に対する免疫沈降実験の結果、いずれもGlcNAc_2をGlcNにまで分解する代謝経路に不可欠であり、尚かつ、この新規代謝経路以外の迂回経路が存在しないことを明らかにした。以前に得た実験結果に今回得られたものを加え、超好熱菌に見出された新規キチン代謝経路に関する論文をまとめ、現在、学術誌に投稿中である。 次年度は、本菌にキチン分解関連酵素の誘導物質による転写制御が存在したので、超好熱始原菌では殆ど報告例のない転写制御因子の同定と生化学的特性の解析を行う。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 田中 丈士, 福居 俊昭, 跡見 晴幸, 今中 忠行: "Characterization of an Exo-β-D-Glucosaminidase Involved in a Novel Chitinolytic Pathway from the Hyperthermophilic Archaeon Thermococcus kodakaraensis KOD1"Journal of Bacteriology. 第185巻第17号. 5175-5181 (2003)
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[Publications] 田中 丈士: "超好熱始原菌に見いだされた新規キチン代謝経路"生物工学会誌. 第82巻第1号. 18-18 (2004)