2003 Fiscal Year Annual Research Report
状況判断を可能とする神経ネットワークのメカニズム解明
Project/Area Number |
03J02344
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
則武 厚 関西学院大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 前頭連合野 / 単一ニューロン活動 / 状況判断 / 特徴統合 |
Research Abstract |
本研究は、特定の刺激-反応関係に依存しない柔軟な状況的判断を可能にするニューロンネットワークの機能とそのメカニズムの一端を明らかにすることを目的として計画された。方法としては、ニホンザルに複数の情報の組み合わせによってgo/nogoを決定するという状況判断が要求される認知課題を学習させ、その行動解析を行うと共に課題遂行中のサル前頭連合野のニューロン活動を調べる。刺激は、ある方向に運動しているカラーランダムドット(RD)で、緑のRDが左に動けばサルはgoを要求されるが、同じ緑でもRDが右に動くとnogoを要求される。このように本研究の課題は、同じ緑でも動く方向によってその意味が変化し適する行動が異なる、すなわち状況的判断をサルに要求する。現在、トレーニング最終段階であり、これまでの行動解析の結果、サルは異なる情報の組み合わせによって行動を決定することを実験的に明らかにした。さらに、異なる情報呈示の間に時間的遅延を挿入した場合においてもgo/nogo行動決定が可能であった。これらの行動が、どのように脳内において決定され実行されるのかというニューロンネットワークの機能を明らかにするため、平成16年4月から前頭連合野、特にArea 46と呼ばれる部位からの単一ニューロン活動の単一記録を予定している。この部位は、選択的注意課題時の行動決定に関連していることが玉川大学学術研究所脳科学研究施設坂上教授らのグループによって明らかにされてきており(本研究員もそのプロジェクトに参加し、成果の一部をThe 33th Annual Meeting of Society for Neuroscienceにて報告した)、本研究においてのニューロン活動とこれまでの選択的注意の研究結果の比較も前頭連合野の働きを調べる上で非常に重要であると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 小泉昌司, 小林俊輔, 則武 厚, 坂上雅道, 彦坂興秀: "行動決定におよぼす前頭前野へのmuscimol局所注入効果"玉川大学学術研究所紀要. (掲載予定). (2004)
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[Publications] 大塚拓朗, 則武 厚, 八木 昭宏: "反応競合がエラー関連陰性電位に及ぼす影響"生理心理学と精神生理学. (掲載予定). (2004)