2003 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン構造変換における脳特異的なアクチン関連タンパク質の機能に関する研究
Project/Area Number |
03J02413
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
尾間 由佳子 甲南大学, 自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アクチン関連タンパク質 / 脳特異的 / 神経細胞分化 |
Research Abstract |
哺乳類の細胞核に局在するアクチン関連タンパク質のアイソフォームArpNα,ArpNβのうち、ArpNαは脳や神経細胞へ分化したEC細胞で特異的に発現している。ArpNαはβと94%相同であるが、N末端40-82アミノ酸領域(α特異的領域)では相同性が65%と低く、推定立体構造も異なっていた。ヒト脳cDNAライブラリーのtwo-hybridスクリーニングを行い、α特異的領域とのみ相互作用を示すタンパク質として転写コリプレッサーであるCtBPを単離した。一方、ArpNβはすべての組織で発現しており、これまでに、哺乳類SWI/SNF複合体などクロマチン構造変換に関与する複数の複合体の構成因子である、BAF53としても報告されている。ArpNαもβと同様にSWI/SNF複合体の構成因子であることを、リモデリング酵素BRMとArpNαとの免疫沈降により証明した。また、SWI/SNF複合体の関与する転写制御のうち、グルココルチコイドレセプター(GR)による転写活性化については、ArpNαを含むSWI/SNF複合体のみがCtBPの量依存的にGRの転写活性化を抑制することが示された。このことから、ArpNαを含んだSWI/SNF複合体はα特異的領域でCtBPと相互作用し、SWI/SNF複合体が関与する転写活性化を抑制することで脳や神経の分化や機能に関与する可能性があることが示された。 ArpNαの神経細胞分化への関与について解析するために、未分化のマウスP19 EC細胞を用いて、ArpNαを恒常的に発現させる安定遺伝子導入細胞を作成した。その結果、遺伝子導入細胞では、凝集塊を形成しやすいこと、レチノイン酸処理による通常の分化誘導を行わないにも関わらず、神経細胞分化マーカーの発現や神経細胞様の形態を示すことを確認した。このことから、ArpNαの発現により未分化のEC細胞が分化を開始すること、少なくともある程度分化を進行させることが可能であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)