2005 Fiscal Year Annual Research Report
圧電セラミックス薄膜を用いた応力および破壊センサーの開発
Project/Area Number |
03J02471
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
白木原 香織 (財)ファインセラミックスセンター, 材料技術研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 圧電セラミックス / ドメインスイッチング / 後方散乱電子線回折法 |
Research Abstract |
圧電セラミックスは,脆性材料として取り扱うことはできる他のセラミックスとは異なり,分域反転機構により金属の延性機構に似た非線形挙動を示す.近年,結晶方位を同定する手法としてEBSP(後方散乱電子線回折)法の普及は著しく,金属材料評価への適応例は多く報告されているが,絶縁材料である上に固溶体であるPZTの研究報告は皆無である. 平成17年度は,昨年度に確立したEBSP観察用試験片調整法を活用してドメインスイッチングのその場観察を行った.さらに,より粒子内でのスイッチング挙動を直接的に観察するためTEMによる観察手法の確立にも挑戦した結果を併せて報告する. 1.『圧電セラミックスのその場観察』観察ステップが0.4μm,プローブ径が20nm程度で,粒径等を検討するには十分な分解能であるが,粒子内のドメインを同定するには分解能が不十分であるため,ステップをプローブ径と同等の20nmとして観察を行った.その結果,層状の結晶構造が観察でき,境界が方位差90度で構成されている90゜ドメインであることを直接的に示すことに成功した.また,ビッカース圧子によってき裂を導入し,引張り荷重負荷前・後での分域反転をマッピング表示によって視覚的に示し,その場観察の今後の展開へ新たな可能性を示した. 2.『TEMによる分域観察』PZTのTEMによる観察(評価)は,これまで多結晶焼結体に関する報告はほとんど皆無である.TEMの試料ホルダーを外力負荷が可能となるように改造し,その場観察に挑戦した.電圧印加よるドメインスイッチングの観察を試みたが,PZTが絶縁材料であるが故に様々な問題が発生した.導電膜のコーティングにより材料本来の圧電挙動を観察することが出来ず,また,電子ビームに電界発生による効果も同調してしまい,更なる改良が必要であると痛感した.しかしながら,暗視野像では90°ドメインの観察が可能であったことから外力負荷による分域壁の移動観察への可能性を見出せたと言える.
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Research Products
(2 results)