2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J02480
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
宮原 和己 茨城大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | モンモリロナイト / 粘度 / 粘土フロック / スリップ効果 / フロック破壊 |
Research Abstract |
申請者の研究目的は,凝集系粘土懸濁液の降伏値の支配要因である粘土フロックの破壊強度を明らかにすることである.本年度は,大きな降伏値を示す高膨潤性粘土鉱材の一つであるモンモリロナイトを用いて,この粘土懸濁液の見かけの粘度の測定から,この粘土フロックのせん断破壊に対する強度が電解質濃度の増加とともに大きくなることを明らかにした。この成果は以下のようにして得られた。 まず,管径の異なる毛細管粘度計を用いて,モンモリロナイト懸濁液の見かけの粘度を測定することによって,この見かけの粘度が管径に依存することを明らかにした.具体的には,低電解質濃度領域では,懸濁液の見かけの粘度は管径の増加とともに小さくなった。一方,高電解質濃度領域では,管径の減少とともに小さくなった。そして,この見かけの粘度の管径依存性の原因として管壁面におけるスリップ効果とフロック破壊の効果を考え,これらの効果を考慮した見かけの粘度と管径の関係式を導出した.この関係式は測定結果と非常に良い一致を示した.その結果,管壁面近傍には,見かけ上粘土フロックが存在しない層(スリップ層)が存在し,その厚さはフロック径の3割程度であること,そして,フロックの破壊に対する強度が10^<-9>〜10^<8>(N)の領域であり,電解質濃度の増加とともに大きくなることがわかった. この研究結果は,第51回レオロジー討論会において発表を行っており,現在,日本レオロジー学会誌に投稿中である.
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