2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J02518
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
芳野 極 岡山大学, 固体地球研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 電気伝導度 / 浸透流 / 連結度 / 固液2相系 / 高温高圧実験 / 二面角 / 金属核形成 / 浸透閾値 |
Research Abstract |
今年度前半は、岡山大学固体地球研究センターにおいてマントルペリドタイト中の鉄-硫化鉄メルトの高温高圧下での電気伝導度測定により浸透閾値の決定の実験を行った。実験は、DIAタイプマルチアンビル型高圧発生装置を用いた一段押しを用い、圧力は1GPa、温度はマントルペリドタイトの融点以下の1000度Cまでの実験とマントルペリドタイトの融点以上の1250度Cまでの実験と2つの系列のものを行った。周囲の珪酸塩物質に比較して硫化鉄の電気伝導度が数桁以上大きいことを利用して、浸透閾値は3次元的に硫化鉄メルトが連結しているかどうかを量比の異なる出発物質を高温高圧下で電気伝導度を測定することにより決定された。その結果、マントルペリドタイトが融解していない条件では、鉄-硫化鉄メルトは体積比で約5%以上の時に連結し、浸透流で移動できることが分かった。それに対し、マントルペリドタイトが融点を超えると硫化鉄メルトは珪酸塩メルト中で球状になり、体積比で26%の出発物質でさえ、連結できなくなることが分かった。このことから、太陽系誕生初期に惑星の金属核はマグマオーシャンが存在しなくても、鉄合金メルトがその融点に達し、初期の鉄合金の体積比が5%以上あるならば、浸透流によって金属核が形成しうることが分かった。そして、ペリドタイトの融点を超えたときは十分に部分融解度が大きくならない限りは鉄合金は移動できないことも示唆された。この内容は、国際学術雑誌に投稿中である。 今年度後半は、アメリカ合衆国レンセラー工科大学において、ピストンシリンダー型高圧発生装置を用いた実験を行った。石英の多結晶体の異なる粒径の電気伝導度を測定することにより、粒界の不純物や吸着水が及ぼす影響を調査するプロジェクトを開始している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Mibe, T.Yoshino, S.Ono, A.Yasuda, T.Fujii: "Connectivity of aqueous fluid in eclogite and its implications for fluid processes in the Earth's interior."Journal of Geophysical Research. 108. doi:10.1029/2002J B001960 (2003)
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[Publications] T.Katsura, H.Yamada, O.Nishikawa, M.Song, A.Kubo, T.Shinmei, S.Yokoshi, Y.Aizawa, T.Yoshino, M.J.Walter, E.Ito, K.Funakoshi: "Olivine-wadsleyite transition in the system (Mg,Fe)_2SiO4"Journal of Geophysical Research. (印刷中). (2004)