2005 Fiscal Year Annual Research Report
コンドリュール・CAIの微小部酸素同位体比解析による原始太陽系の形成過程の研究
Project/Area Number |
03J02528
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
丸山 誠史 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 酸素同位体 / コンドリュール / CAI / 隕石 / 連続フロー同位体比質量分析法 / レーザーアブレーション / 局所分析 / 原始太陽系 |
Research Abstract |
隕石は太陽系の形成過程を知る上で最も直接的かつ物質科学的な情報を提供する。コンドライト隕石に含まれるCAIやコンドリュールを構成する鉱物の特徴的な酸素同位体比異常の成因は、惑星物質科学における最重要課題の一つである。本研究では、コンドリュールやCAIの酸素同位体組成を高精度に測定するために、紫外線レーザー掘削型連続フロー同位体比質量分析計(UVLA-CF-IRMS)を自作する。そして酸素同位体組成と岩石学的特性とを関連づけて考察し、各種物質の形成過程を解明する。これにより初期太陽系の物理化学的環境、物質進化史に関する全く新しい情報を得る事を目的とする。 平成十七年度は、実際の岩石鉱物試料の酸素同位体比を測定するための最適な条件を決定するための実験を主に行った。高純度酸素ガスを使った酸素同位体比測定の実験では、質量分析装置が最も精度良く(δO値のばらつきが±0.5‰未満)測定できる試料酸素ガスの量は、45-80ナノモルである事が判明した。この量は、主要な造岩鉱物を直径、深さともに110-130ミクロン掘削した時に得られる酸素量である。この実験結果を踏まえて、実際の岩石鉱物試料のレーザー掘削・分析試験を行った。この実験により、酸素抽出反応はレーザーのエネルギーのみならず、反応時のフッ素の圧力にも左右され、しかもフッ化の最適条件は鉱物種ごとに異なる事が判明した。フッ素雰囲気化でのレーザー掘削によって造岩鉱物から酸素を抽出する事には成功したものの、その量は当初の見込みより大幅に少なかった。この実験から、本手法では試料反応容器の容積と導入すべきフッ素量、そしてレーザーのエネルギー密度が特に重要であり、本手法においてはむしろ試料前処理ラインを反応容器に合わせた構造にすべきである事が明らかになった。
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