2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J02535
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
江口 傑徳 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 転写 / 遺伝子発現 / 軟骨 / 乳癌 / CTGF / TRENDIC / Smad / 骨転移 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で,我々はヒトctgf遺伝子のコアプロモーターの上流領域に,軟骨肉腫由来軟骨細胞様細胞株HCS-2/8において転写を強く促進するエレメントTRENDICを同定した.以下が本年度の研究で得られた新たな関連知見である. 1.細胞種特異性の包括的解析:CTGFは組織再生、内軟骨性骨化、乳癌の骨転移などに強く関わるので,軟骨肉腫由来HCS-2/8細胞と,乳癌由来のMDA231細胞を選んで分子生物学的比較解析を進めた.その結果,HCS-2/8のctgf遺伝子発現を支えているのがTRENDICおよびもう一つの類似配列であって,近傍のSmad binding elementを介したSmadシグナルではないことが確認された.これに対してMDA231では転写活性の維持が主としてSmadシグナルによってなされ,TRENDICの関与が低いことも明らかになり,TRENDICの命名根拠(transcription enhancer dominant in chondrocytes)の正しさが実証された. 2.TRENDIC結合因子の機能解析:昨年度までにすでに3種類のTRENDIC結合タンパク質のcDNAがクローニングされ,うち1つはMMP-3であった.本年度の研究ではまずMMP-3の触媒活性ドメインとHemopexin様リピートが,ctgf遺伝子の転写を増強することを確認した.さらにこのこのMMP-3がTRENDICに結合することを,合成DNAとの試験管内での結合実験(EMSA)および細胞ゲノムのクロマチン構造下での結合実験(ChIP)の両方において確認することができた.またMMP-3のsiRNAをHCS-2/8細胞に導入し,当該因子の遺伝子発現を阻害した結果,期待通りctgf遺伝子発現の抑制も確認できた. 3.MMP-3の細胞核内局在の検討:HCS-2/8細胞の細胞質および核内にMMP-3が存在することを免疫染色で確認した.これは転写活性化と深く関わる現象なので検討を続けている. 以上の成果のほとんどは現在投稿準備段階であるが,関連研究成果については裏面に記すように今年度すでに論文として発表された.
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Research Products
(2 results)