2003 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨由来の多機能成長因子CTGFの遺伝子発現、及び血管新生作用機序の解明
Project/Area Number |
03J02538
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
近藤 誠二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 結合組織成長因子(CTGF) / 低酸素 / 遺伝子発現 / 軟骨肉腫 / mRNA / 転写後調節 / 3'-UTR / 血管新生 |
Research Abstract |
結合組織成長因子(CTGF)がある種の癌細胞、特に我が研究室で独自に樹立された軟骨肉腫細胞株HCS-2/8で高発現していることに着目し、その遺伝子発現制御機構と血管新生作用を結び付けた癌細胞の低酸素暴露実験を行い、以下の結果を得た。 1.HCS-2/8において低酸素状態がctgfmRNAを誘導した。具体的には、マクロアレイを使用した包括的、網羅的遺伝子発現探索、及びノーザンブロットによる個別の遺伝子発現探索により確認した。 2.CTGFのプロモーター領域を組み込んだプラスミドを使用したレポータアッセイ及びrun on assayでctgf mRNAの低酸素誘導の機序として、CTGFのプロモーター転写活性化は関与していないことが判明した。 3.サイクロヘキシミド添加で新規タンパク合成を阻害した上で、低酸素暴露してもctgf mRNAの誘導が阻害されなかったことから、CTGFの低酸素誘導に新規転写因子の合成は必要ないことが明らかになった。 4.アクチノマイシンD添加で新規転写を阻害した上で低酸素暴露するとctg mRNAの安定性の増大が見られた。 5.CTGFの低酸素誘導における転写後調節機構にctgf mRNAの3'側非翻訳領域(3'-UTR)の遺伝子発現抑制効果の解除が関与している傍証をCTGFの3'-UTR領域を組み込んだプラスミドを使用したレポータアッセイで得た。 6.mRNAレベルのみならず、タンパクレベルにおいてもCTGFの低酸素誘導が認められた。特にinvivoにおいてヌードマウスにHCS-2/8細胞を移植して担癌状態にした腫瘍組織の低酸素部分に一致してCTGFタンパク質の高発現が認められた。 今後ctgfのsteady-state mRNA levelを変える責任エレメントがどこに存在するのか、そしてそこに結合する特異的核内因子の存否を解明する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Moritani, N.H. et al.: "Suppressive effect of overexpressed connective tissue growth factor on tumor cell growth in a human oral squamous cell carcinoma-derived cell line."Cancer Lett.. 192(2). 205-214 (2003)
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[Publications] Nishida, T. et al.: "CTGF/Hcs24, hypertrophic chondrocyte-specific gene product, interacts with perlecan in regulating the proliferation and differentiation of chondrocytes."J.Cell.Physiol.. 196(2). 265-275 (2003)