2003 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌ウシグソヒトヨタケの子実体形成に関する突然変異株の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
03J02545
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
寺島 和寿 岡山大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 担子菌 / きのこ / ウシグソヒトヨタケ / 子実体形成 / 光形態形成 / 青色光受容体 / LOVドメイン / PASドメイン |
Research Abstract |
本研究室ではウシグソヒトヨタケの光形態形成に関わる突然変異株(dst1が変異株、dst2変異株、pin1変異株)を得ている。本年度はこれらの変異の原因遺伝子の分子遺伝学的解析および発現解析を行った。 1)dst2およびpin1の分子遺伝学的解析 dst2の座乗染色体を決定するため、RAPDマーカーおよび栄養要求性マーカーを用いて連鎖解析を行った。その結果、dst2は第五染色体に座乗していることが明らかになった。現在、第五染色体特異的ライブラリーを用いて、dst2変異を相補するクローンのスクリーニングを行っている。 相補検定によりdst2とpin1が同一遺伝子座であるかを検討した結果、pin1-1変異株とdst2-1変異株の交配では、変異形質が半優性的に現れた子実体が観察された。そのため、dst2とpin1が同一遺伝子であるか確定できなかった。 2)dst1の発現解析 dst1のcDNA塩基配列を5'および3'RACE法により解析し、ゲノムDNA塩基配列と比較した。その結果、dst1は68塩基のイントロンを1つ含み、ORFは1175アミノ酸残基をコードしていることが明らかになった。また、2ヶ所のPoly-A付加部位があり、それぞれの3'非翻訳領域は564塩基、629塩基であった。5'非翻訳領域は113塩基であった。 変異遺伝子dst1-1のゲノムDNA塩基配列を解析した結果、dst1-1はDst1タンパク質の転写活性化領域と思われるQリッチ領域を欠失させるナンセンス変異を持つことが明らかになった。 ノーザン解析の結果、dst1は、未分化の栄養菌糸<0.5mm程度の子実体原基を含む栄養菌糸<2mm程度の子実体原基の順に発現量が多く、子実体原基の形成に伴って発現量が増大していることが示唆された。また、子実体の柄、dark stipeでも強く発現していることが明らかになった。
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