2005 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物の染色体DNA複製の試験管内再構成と、複製開始制御機構の解明
Project/Area Number |
03J02551
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
牧瀬 正樹 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | Origin recognition complex / 染色体DNA複製開始反応 / リン酸化 / 出芽酵母 / Cdc6p / MCM / Cdk |
Research Abstract |
本研究では、真核生物のDNA複製開始反応において中心的な役割を果たすOrigin recognition complex(ORC)に変異を導入し、再複製開始反応抑制機構の分子機構を解明しようとしたものである。モデル生物である出芽酵母では、CdkによるORCのリン酸化が再複製反応の抑制に関与することが既に分かっている。そこで、ORCのリン酸化されるサブユニットであるOrc2pおよびOrc6pのCdkリン酸化のコンセンサス配列に変異を導入し、リン酸化状態を模倣した変異蛋白質(Orc2-6DpおよびOrc6-4Dp)を発現するplasmidを構築し、これらを細胞に発現させた場合の機能を検討した。Plasmid shuffling法によってOrc2-6Dpの細胞内機能を検討したところ、この変異蛋白質は細胞内で機能しないことが分かった。Orc2-6Dpの細胞内安定性は野生型Orc2pと変わらなかったので、Orc2-6Dpが機能しない原因は分解に因っているのではないことが分かった。私は、Orc2-6Dpが通常の開始反応を抑制している可能性を考えている。また、同様な解析をOrc6-4Dpについても行ったところ、この変異蛋白質は細胞内で機能した。すなわち、Orc6pのリン酸化は、通常の開始反応を抑制しないことが示された。これまで、ORCのリン酸化は、もっぱら再複製反応の抑制に関与すると考えられてきたが、リン酸化されるサブユニットによって開始反応に対する役割が異なることが示唆された。
|