2004 Fiscal Year Annual Research Report
金属内包フラーレン固体およびそのデバイス構造における物性研究
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03J02596
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 孝宜 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 金属内包フラーレン |
Research Abstract |
今年度の研究計画において,微少試料である金属内包フラーレンを有効に使用するため,その必要量を最小にすることを目的に,化学合成によりフラーレンとカーボンナノチューブ(CNT)を連結し,CNTを単なる電極とみなすことでフラーレン単分子を測定することを計画していた.当初,用いるCNTにはグラフェンシート単層の筒からなる単層CNT(SWNT)を用いる予定であったが,SWNTは,特に低温においてその電気伝導度が電界効果に強く依存し,マルチドットのクーロンブロッケード的な現象が観測されたため単分子への配線材料としては不適であると結論付けた.そこで,すべて金属的といわれている多層CNT(MWNT)(グラフェンの筒が何層も入れ子状に重なっている)をリードとして使うことを考えた.あらかじめ,MWNTの電気伝導を室温で観測したところ,SWNTほどではないが,弱い電界効果への依存を観測した.この電界効果への依存性は低温になるに従い減少する傾向があった.印加する電界を固定して,温度変化に着目すると,電界が小さいうちは,これまでに報告されているとおり温度の減少とともに伝導度も減少するという異常な金属の振舞いが観測された.電界効果を大きくすると温度依存性はなくなり,もっとも電界を大きくしたところでは,わずかに温度の現象とともに伝導が増加するという従来の金属的挙動に近づいたことを観測した.すなわち,異常な金属的挙動から通常金属への電界効果による交差を観測することに成功した.今後,より詳しくSWNTおよびMWNTの挙動を調べるとともに,電極としての応用も検討したい.
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Research Products
(1 results)