2003 Fiscal Year Annual Research Report
金属内包フラーレン固体およびそのデバイス構造における物性研究
Project/Area Number |
03J02596
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 孝宜 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 金属内包フラーレン / カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
本研究の目的は,金属内包フラーレンの物性を調べることにある.金属内包フラーレンの収量は極めて少ないことから,バルクとしてではなく薄膜さらには単分子としての機能性に期待が持たれる.有機薄膜においては薄膜中で微小な結晶粒が作られるため,薄膜の電気輸送特性は結晶粒間のホッピング輸送であるといわれており,これは金属内包フラーレン自身の物性を明らかにすることへの障害となる可能性が高い.ホッピング輸送を抑制するには,完全結晶性薄膜を作製するか測定するか薄膜のサイズを結晶粒1グレインまで小さくする方法が考えられ,本研究では後者の方法で解消することを試みる.また,金属内包フラーレン分子をカーボンナノチューブ(CNT)と接合し,単一分子の測定も行う予定である. 本年度は,単一分子を測定する準備としてCNTの処理を行った.CNTはその直径が数ナノメートルに対して,その長さが数マイクロメートルから数十マイクロメートルと長い.また電気をよく通すものがあることから,微小領域での配線材料として期待されている.本研究においてもCNTを配線として用いて,金属内包フラーレン分子に物理的,化学的に連結することを計画している.CNTはそのままでは,スパゲッティのように激しく絡まり合っており配線として用いるのは困難である.そのため,あらかじめ化学処理を行ってある程度短くすることで直線性の高い1マイクロメートル程度のCNTの束を得た.このCNTの束をナフタレンジアミン分子へと連結することを試みたところ,原子間力顕微鏡像において連結された可能性のある部分が観測された.ただし,配線としてのCNTの長さが少し短いため電気特性の測定には至っていない.CNTの処理条件を,数マイクロメートルのCNTとなるよう最適化する必要がある.
|