Research Abstract |
参画型公共事業計画においては,市民,行政,企業,大学,NPO等の協働が必須である.今年度は,各組織の現状と課題を明らかにし,今後の対応策を検討した. まず,行政機関に対しては,「中京圏における行政の政策等課題に関する住民参画手法調査結果」に基づき,中京圏の行政機関が展開している住民参加の実施状況と担当職員の意識を分析した.これより,住民参加の実務担当者として,既に現場を多数経験し知識も技術も豊富な職員がいる一方,体系的な参加の理論・技術を体得する機会を必要している初心者的職員も多いことが分かった. また,土木系の建設コンサルタントの技術者を対象とした市民合意形成プロデューサー養成プログラムの開発を行った.ここでは,学習者同士で協力して問題を発見し解決する参画力を養うため,教育学の分野で研究されている参画教育を導入した.これより,学習者が,(1)合意形成プロデューサーに必要なコミュニケーション技術の一部を体験しそこから学びを得ること,(2)学習者同士で協力して問題を発見し解決する参画力を養うこと,が可能なプログラムとなった. さらに,構想段階において市民参加(パブリック・インボルブメント;PI)が導入された三重・津市自転車ネットワーク検討事例をもとに,PI初動期のPIプロセスや合意形成技術についての研究を行った.ここでは,PI初動期における利害関係者の集中的なミーティングとファシリテーションの重要性が確認された. この他,岐阜市の総合交通体系を考える際の市民参加に学識者という立場でファシリテーションを行った.また,NPO法人PI-Forumを研究対象とし,参画型公共事業計画におけるNPOの役割を模索している.今後は,これら参画型公共事業計画の寒践を通じて得られた知見を整理して発表する予定である.
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