2005 Fiscal Year Annual Research Report
バラの花器官分化および棘形成の分子機構の解明と分子育種による新規バラの創製
Project/Area Number |
03J02624
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
北原 健太郎 岐阜大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 花器官分化 / MADS遺伝子 / バラ |
Research Abstract |
高等双子葉植物の器官分化を制御するMADS遺伝子群の中では,クラスC MADS遺伝子であるAGAMOUS(AG)ホモログが雄ずいと心皮の分化制御に,クラスB MADS遺伝子群であるPISTILLATA(PI)ホモログとAPETALA3(AP3)ホモログの両者が花弁と雄ずいの分化制御に関わっている.AP3ホモログはさらにTM6 lineageとeuAP3 lineageに分類できる.シロイヌナズナではeuAP3 lineageに属するAP3のみ存在しているが,ペチュニアやトマト,本研究で扱うバラなどではTM6 lineageに属するものとeuAP3 lineageに属するものの二種のAP3ホモログが存在している.本研究の目的はバラの花器官分化と棘形成に関与する遺伝子を特定し,花器官分化と棘形成の分子機構を解明した上で分子育種に繋げることにある.これまでに原種バラ(Rosa rugosa和名ハマナス)からAGホモログと考えられるMASAKO C1およびD1,PIホモログと考えられるMASAKO BP,AP3ホモログと考えられるMASAKO B3およびeuB3を単離し,その一次構造や発現様式を明らかにしてきたが,本年度は以下のような知見が得られた. CaMV35Sプロモータに連結したMASAKO BP,B3,euB3遺伝子をそれぞれ単独でシロイヌナズナに導入した場合,得られたT_1植物体の花器官の表現型は野生型と同じものであった.MASAKO BPを有するT_1個体とMASAKO B3を有するT_1個体を交配して得られた後代の中に,がくが花弁化し心皮が雄ずい化する個体が見られた.このような花の表現型はPIおよびAP3を異所的に発現させたトランスジェニックシロイヌナズナの花の表現型に類似している.MASAKO B3はTM6 lineageに属するAP3ホモログと考えられるが,発現様式はシロイヌナズナのAP3の発現様式に類似している.以上のことからMASAKO BPとMASAKO B3はバラの花弁と雄ずいの分化制御に重要な機能を有する可能性が考えられる.また,MASAKO BPを有するT_1個体とMASAKO euB3を有するT_1個体を交配して得られた後代の中に,がくが花弁化し心皮の融合が不完全である個体が見られた.MASAKO euB3はeuAP3 lineageに属するAP3ホモログと考えられ,花器官全体で発現している等既知のeuAP3 lineageのAP3ホモログとは異なる特徴も有するが,バラの花弁の分化制御に重要な機能を有する可能性が示唆された.
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Research Products
(4 results)