2005 Fiscal Year Annual Research Report
チンパンジーにおける生殖生物学的特性の地域変異に関する研究
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03J02628
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
藤田 志歩 独立行政法人医薬基盤研究所, 霊長類医科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | チンパンジー / 繁殖特性 / 栄養 / 内分泌 / 環境要因 / 地域個体群間変異 / タンザニア:ギニア / 生殖生物学 |
Research Abstract |
本研究は、チンパンジーの繁殖特性における地域個体群間変異をもたらす要因を明らかにすることを目的とした。生息地の生態学的要因が栄養状態を介してチンパンジーの繁殖能力に影響を及ぼすと予測して、野生チンパンジーの活動、採食品目、および糞中生殖関連ホルモン濃度をマハレ(タンザニア共和国)とボッソウ(ギニア共和国)で比較した。とくに、季節によって生態学的要因の影響がどのように異なるのかについて調べるため、雨季に野外調査を行い、すでにデータが得られている乾季のデータと比較した。 本年度は、昨年度に両地域で行った野外調査において採集した試料およびデータの分析を行った。糞サンプルを用いて生殖関連ホルモン濃度の抽出および測定を行った結果、卵胞期のエストロゲン濃度、および黄体期のプロゲステロン濃度はボッソウよりマハレの方が低いことが明らかとなった。これまでに行った乾季の調査からも同様の結果が得られていることから、季節に関わりなく、マハレでは卵巣の活動が抑制されていることが明らかとなった。また、チンパンジーの活動および採食品目について調査した行動データについても、入力作業を行った。これまでに乾季に行った調査からは、両地域の採食効率に差があることを示唆する結果が得られており、これが栄養状態を介して卵巣活動に影響を及ぼしていると考えられる。今後、雨季においても同様の効果があるのかについて、行動観察データの分析を進める予定である。
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Research Products
(2 results)