2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J02681
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
木下 大輔 国立天文台, 光赤外研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 太陽系 / エッジワース・カイパーベルト / 彗星 |
Research Abstract |
本研究では、太陽系外縁部に存在するエッジワース・カイパーベルト天体と呼ばれる小天体の空間分布およびサイズ分布を明らかにすることより、太陽系の起源と進化を明らかにすることを目標としている。国立天文台がハワイに設置したすばる望遠鏡の主焦点カメラによる直接撮像による探査と、台湾の国立中央大学などが進める掩蔽を用いた間接探査の二つの観測を行ってきた。大口径のすばる望遠鏡による直接撮像では、サイズ分布が単一の冪乗則では説明できないことが示され、天体表層の色指数がサイズと相関があるかどうか、また、天体表層の均一性、不均一性を調べるため、これまで行ってきた単色による探査ではなく、二色の探査も行った。掩蔽による間接探査は、多数の恒星を監視し、直接撮像では捉えられない直径数キロメートル程度の小さな天体の数を見積もろうというもので、TAOS計画と呼ばれている。典型的な掩蔽の継続時間は0.2から0.3秒程度であるため、高速な測光が必要となる。そのために、CCDの電荷転送により5Hzという高速なサンプリングを実現するzipper mode読み出しを用いた観測手法が確立された。2004年11月より定常的なサーベイ観測を開始した。また、データ解析のために、得られたデータから掩蔽と思われる減光を検出するソフトウェアをランキング統計を利用したアルゴリズムを用いて作成した。TAOS計画は台湾中部の鹿林観測所に設置した四台の口径50cm望遠鏡を用いているが、鹿林のサイトの特徴を評価し、サーベイの結果に反映させるため、鹿林観測所の口径1-m望遠鏡とCCDカメラを用いた大気減光係数や夜間の空の明るさなどの測定を行った。さらに、赤外線天文衛星による全天サーベイ観測に備えて、赤外線データ用の移動天体検出プログラムの開発を行った。赤外線天文衛星ASTRO-Fは2006年2月に無事に打ち上げが成功し、まもなく観測を開始する。また、エッジワースカイパーベルト天体は軌道進化し、最終的には短周期彗星になると考えられている。2005年7月にはアメリカ航空宇宙局の探査機Deep Impactがテンペル彗星に衝突体をぶつけたのに合わせ、偏光撮像観測を行った。現在、解析中であるが、彗星から放出された塵の特性に制限が与えられる見込みである。
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Research Products
(5 results)