2005 Fiscal Year Annual Research Report
指標生物を用いた海洋におけるダイオキシン類汚染モニタリングとその生体影響評価
Project/Area Number |
03J02714
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
上野 大介 佐賀大学, 農学部, 講師
|
Keywords | ダイオキシン類 / OH-PBDEs / 水酸化代謝物 / 有機臭素化合物 / 環境ホルモン / 甲状腺ホルモン様物質 / 湖水・雨水・雪 / 環境分析化学 |
Research Abstract |
本課題は、魚介類を指標生物として利用したダイオキシン類による水域汚染のモニタリング手法を確立することにある。本年度は、対象汚染物質として水酸化PBDEs(OH-PBDEs)に着目した。OH-PBDEsはダイオキシンの類縁物質PBDEsの水酸化代謝物である。それらは甲状腺ホルモンと類似の化学構造をもつことから、血液中の甲状腺ホルモン輸送タンパク質などと結合して内分泌かく乱物質として作用することが知られている。本課題ではOH-PBDEsの化学分析手法の開発と環境試料からの検出を目的とし、本年度は湖水や雨などの試料を対象とした。その成果は以下のようにまとめられる。なお本研究は海外渡航先であるカナダ環境省National Water Research Instituteにて実施されたものである。 1.カナダ環境省National Water Research Instituteと協力し、カナダ五大湖から水、雨、雪の試料を採取した。 2.OH-PBDEsの化学分析手法を検討し、ガスクロマトグラフ高分解能質量分析計を使った高感度検出法を確立した。 3.化学分析に供した全ての試料(水、雨、雪)からOH-PBDEsが検出され、これら物質による汚染が広がっていることが明らかとなった。 4.OH-PBDEsは雪より雨から高濃度で検出され、夏の強い紫外線によりPBDEsがOH-PBDEsに酸化されていることが示唆された。 5.都市下水処理場周辺の水試料から高濃度のOH-PBDEsが検出され、都市で使用されたPBDEsが下水処理場で分解代謝を受けていることが示唆された。 6.これら環境水中から検出されたOH-PBDEsの生物蓄積特性とその毒性影響が今後の課題となった。
|
Research Products
(5 results)