2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポリグルタミン凝集阻止を目的としたER結合蛋白分解系(ERAD)の解析
Project/Area Number |
03J02765
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
高鹿 依子 国立精神・神経センター, 疾病研究第5部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ERストレス / オートファジー / ポリグルタミン |
Research Abstract |
CAGトリプレットリピートの伸張を原因とする神経変性疾患では脳や神経にポリグルタミンの蓄積が観察され、細胞質の空胞化(オートファジー)などの病理像が共通に認められる。近年、ポリグルタミンの凝集とERストレス細胞死との関係が注目されている。昨年度は、ポリグルタミンとオートファジーの関係について報告した。今年度はERストレスとオートファジーの関係について検討した。 ERストレスを誘導する試薬であるツニカマイシン、タプシガルギンによるオートファジー形成を解析したところ、これらの試薬はLC3を膜結合型LC3へと変換させた。そこでERストレスやポリグルタミンが誘導するオートファジー形成のシグナルを検討したところ、ERストレス誘導、ポリグルタミンの強発現の両条件下において、ドミナントネガティブのPERKを発現させた細胞では膜結合型LC3の形成が抑制され、さらにPERKの下流で制御されるeIF2αのドミナントネガティブをノックインした細胞では膜結合型LC3の形成が抑制され、polyQ72の凝集率が上昇し、カスパーゼ12の活性化が促進した。変異蛋白の凝集を原因とする神経変性疾患では初期の段階ではERストレスを介してオートファジー形成が誘導され、変異蛋白の凝集を阻止することにより細胞死を回避する機構として作用していると考えられた。しかし、凝集が形成されるとERストレスの過剰な状態になり、それにより、オートファジー形成が亢進し変性が起こり、平行してカスパーゼ12が活性化され、細胞死が起こると考えられた。
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