2004 Fiscal Year Annual Research Report
ポリグルタミン凝集阻止を目的としたER結合蛋白分解系(ERAD)の解析
Project/Area Number |
03J02765
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
高鹿 依子 国立精神・神経センター, 疾病研究第5部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ポリグルタミン / オートファジー |
Research Abstract |
多くの神経変性疾患では、変性タンパク質の蓄積などの病理像が共通に認められ、アポトーシス、オートファジー、ネクローシスなどの多様な変性像が観察される。また、神経変性疾患で観察される蓄積した変異蛋白凝集はユビキチン陽性の像を示すこと、オートファジー形成の阻害によりタンパクの凝集が促進することが報告されている。本年度はポリグルタミン凝集がもたらす細胞死について検討すると共に、もうひとつの特徴であるオートファジー形成の分子機構について検討した。細胞に72リピートのポリグルタミン(polyQ72)を発現させ、オートファジー形成促進剤のラパマイシンとオートファジー形成抑制剤の3-メチルアデニンを添加したところ、ラパマイシンを添加した細胞ではポリグルタミンの凝集率が低下し、細胞死も抑制され、カスパーゼ12の活性化が抑制された。一方、3-メチルアデニンを添加した細胞ではポリグルタミンの凝集率が上昇し、細胞死も促進し、カスパーゼ12の活性化が促進した。次に、オートファジー形成の機構をLC3の膜結合型(LC3-II)への変換を指標として、ポリグルタミンによるオートファジー形成について検討した。細胞にpolyQ72を発現させるとオートファゴソーム結合型のLC3-IIが検出された。免疫染色ではpolyQ72凝集を示す細胞で粒状のLC3が観察されたが、凝集の見られないpolyQ11の細胞では観察されなかった。また、Atg5欠損細胞ではpolyQ72を発現させてもLC3-IIは検出されず、免疫染色でも粒状のLC3は観察されなかった。さらに正常(WT)細胞と比較すると、Atg5欠損細胞ではpolyQ72の凝集率が上昇し、カスパーゼ12の活性化が促進した。以上の事から、ポリグルタミン病などの神経変性疾患においてはオートファジーは疾患発症を防止する役割を果たしており、オートファジー誘導とERストレスのシグナルとの接点が示唆された。
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