2003 Fiscal Year Annual Research Report
中枢性麻酔薬のクロライドホメオスターシスを介するGABA作動性神経伝達調節作用
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03J02777
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
村木 純偉 (山本 純偉) 浜松医科大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミダゾラム / GABA / ニコチン性アセチルコリン受容体 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
現在臨床で広く鎮静に用いられている静脈麻酔薬ミダゾラムのシナプス後膜のGABA_A受容体への作用はよく知られているが、シナプス前終末からのGABA放出への作用はよく分かっていない。そこでGABA_A受容体を介する微小抑制性シナプス後電流(mIPSC)へのの作用を調べた。生後約2週間のラットの脳スライス標本を作成。大脳皮質体性感覚野第V層の錐体細胞にホールセルパッチクランプし、人工脳脊髄液にグルタメート受容体桔抗薬とテトロドトキシンを加え灌流し、GABA_A受容体を介するmIPSCを記録した。ミダゾラム0.1-1μMはmIPSC の頻度を増加させた。その作用機序としてシナプス前GABA_A受容体への作用を考え同じベンゾジアゼピン系のジアゼパムとゾルピデムでも調べてみたが、増加しなかったことから、他の機序であることが示唆された。ミダゾラムのmIPSCの頻度増加作用はα7ニコチン性アセチルコリン受容体阻害薬methyllycaconitine 1OOnMにより抑えられたが、α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体阻害薬dihydro-β-erythroidine 50uMでは抑制されなかった。また、ニコチン単独投与では、mIPSCの頻度は増加しなかったが、ミダゾラム投与下にニコチンを投与したところミダゾラム単独投与よりも更に頻度が増加した。このことからミダゾラムがα7ニコチン性アセチルコリン受容体の細胞膜へ移動を促進し、内因性アセチルコリンによりシナプス前終末からGABAの放出が増加しGABAの作用を増強している可能性が示唆された。現在、その作用を蛍光でラベルしたα-ブンガロトキシンを用い光学的に検証し論文を作成中である。
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