2004 Fiscal Year Annual Research Report
中枢性麻酔薬のクロライドホメオスターシスを介するGABA作動性神経伝達調節作用
Project/Area Number |
03J02777
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
村木 純偉 (山本 純偉) 国立大学法人浜松医科大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GABA / ニコチン性アセチルコリン受容体 / プレシナプス / 大脳皮質 / ミダゾラム |
Research Abstract |
静脈麻酔薬ミダゾラムのシナプス前への作用はよく分かっていないことから、ミダゾラムのGABA作動性シナプスへの作用を生後約2週のラットの脳スライス標本を作成し、大脳皮質体性感覚野第V層の錐体細胞にホールセルパッチクランプを行いGABA放出への作用を調べた。人工脳脊髄液にはテトロドトキシンとグルタメート受容体拮抗薬を加え灌流し、GABA_A受容体を介するmIPSC(微小シナプス後電流)を記録した。ミダゾラム1μMの灌流投与によりmIPSCの頻度が増加した。その作用機序としてシナプス前のGABA_A受容体を考え他のベンゾジアゼピン系薬物である、ジアゼパム、ゾルピデム、フルニトラゼパムでも調べてみたが、mIPSCの頻度は増加しなかった。このことから他の機序であることが示唆された。ミダゾラムによるmIPSC頻度増加作用はα7ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)阻害剤methyllycaconitine 100nMにより抑えられたが、α4β2nAChR阻害剤のdihydro-erythroidine 50μMでは抑制されなかった。また、ニコチン単独ではmIPSCの頻度は増加しなかったことから、ミダゾラムによりα7nAChRが細胞膜へ誘導され、内因性アセチルコリンによりGABAの放出頻度が増加したのではないかと考え、機械的急性単離した錐体細胞を用いてα7nAChRに特異的に結合する蛍光色素でラベルしたαブンガロトキシンを用いて調べたところ、ミダゾラムにより有意にα7nAChRが増加するのが観察された。また、シナプスターミナルに特異的に取り込まれる色素FM1-43で共染色したところその増加したα7nAChRの多くがシナプスターミナルに存在することがわかった。現在はミダゾラムがどのようにして、α7nAChRの細胞膜への移動を行っているのかそのメカニズムについて調べつつ論文投稿中である。
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