2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J02784
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
千田 智子 東京芸術大学, 美術学部・先端芸術表現科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 環境倫理 / 環境美学 / 合意形成 / コミュニケーション |
Research Abstract |
本年度は、環境倫理的視点と美学的視点の統合という、研究の基礎となる思想的側面を重点的に考察した。その結果、「合意形成」と、「コミュニケーション」という新たな二つの課題が浮上してきた。なぜなら、景観を改変するには、さまざまな利害関係をもつ周辺住民や、都市計画・美学・社会学などのいろいろな分野の専門家の合意形成が必要である。とくに周辺住民と各分野の専門家は、普段まったく違った言語内容で生活しているため、議論のすれ違いを残したまま、環境が改変されていく場合が少なくない。 そのような問題関心から、「合意形成」については、東京工業大学大学院と東京芸術大学で協力し、2ヶ月に一度のペースで研究会を立ち上げ議論を行っており、その成果を来年度に、共著としてまとめる予定である。 一方、「コミュニケーション」に関しては、東京芸術大学大学院で、一年間かけて議論を行い、その中間的発表の場として、「コミュニケーション・ディスコミュニケーション」展を開催した。そのなかで本人は「コミュニケーション」を題材として制作を続けている現代美術作家と対談し、その対談記録を再検証するという実験を行った。 また、ドイツにおける環境倫理とランドスケープデザインについて資料を集めた。対して、欧米の事情と比較するため、日本の近代の空間編成について研究した結果を、アジアデザイン国際会議にて発表した。さらに、日本文化研究所の共同研究会「日本の近代化家庭における技術と身体の思想」に参画しており、これも将来的には共著としてまとめる予定である。
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