2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J02784
|
Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
千田 智子 東京芸術大学, 美術学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 環境 / 南方熊楠 / 岡倉天心 / 身体性 / 日本美術 |
Research Abstract |
今年度は、おもに環境と人間の関係を、南方熊楠・岡倉天心といった、個人の思想を基盤に考察した。 8月に龍谷大学で行われた『南方熊楠の森』展関連シンポジウムにパネラーとして出席し、南方の環境思想の意義を再確認した。そのうえで、論文「熊野と熊楠」を執筆、これを『南方熊楠の森』(方丈堂出版、2005年4月刊行予定)に掲載する予定である。 また、美学的問題としては、岡倉天心について考察し、日本の自然や環境を、表象として世界に提示する際の問題を追及している。「日本」という表象は、その空間性や自然と密接に関係しており、これを、世界に向けて発信するさいには、大きな戦略的問題が浮上する。つまり、美術の世界市場という土俵で、「日本」という表象を提示するにあたり、そこには資本主義原理と「日本的なるもの」というドグマが存在する。この基本的な命題に対し、「日本美術」というものを立ち上げ、はじめて世界に提示した岡倉天心について、考究を進めている。これと関連して、ワタリウム美術館にて開催される『岡倉天心』展(2005年2月5日〜6月25日)にあわせて行われる連続講演において、「岡倉天心と南方熊楠」のテーマで2005年4月7日に単独講演することが決定している。 さらに昨年度から引き続き、国際日本文化研究センターにおける共同研究として、「日本の近代化過程における技術と身体の思想」に参画している。ここでは日本の環境と空間の近代化と、人間の身体性との相克をテーマに研究している。なお、この研究結果は来年度夏に出版される。
|