2004 Fiscal Year Annual Research Report
多細胞システムにおけるオートファジーの分子機構と機能
Project/Area Number |
03J02799
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
神本 高宏 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 特別研究員(PD)
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Keywords | オートファジー / α1アンチトリプシン / 小胞体 / 異常タンパク質 |
Research Abstract |
Z変異型α1アンチトリプシン(ATZ)タンパク質の小胞体内腔への蓄積は、遺伝性α1アンチトリプシン欠損症における肝細胞障害の重症度と相関している。このとき障害された肝組織の電子顕微鏡観察像において、オートファジーの亢進を示すオートファゴソームの蓄積が顕著であることが以前に報告されていた。そこで、細胞内タンパク質分解の主要経路の一つであるオートファジーが、異常タンパク質であるATZの分解によって細胞障害に対する生理的な防御機構として働いている可能性を明らかにしようとした。 オートファジーの初期段階に必須であるAtg5遺伝子ノックアウトマウス由来の胚性線維芽細胞(MEF)を用いて、オートファジー活性の欠損したAtg5-/-MEF細胞ではコントロールの野生型細胞と比較してATZの分解が遅くなることを確認した。このときのATZの蓄積は、小胞体由来と考えられる細胞内封入体状の構造として増加することを見出した。また、オートファゴソーム膜のマーカーとなるGFP-LC3を用いて、ATZのオートファゴソーム内への取り込みを観察しようとした。オートファゴソームはリソソームと融合しオートリソソームとなって内容物が分解されるが、この融合の過程が低分子量Gタンパク質Rab7に依存して起こることが近年報告された。そこで、dominant negative Rab7をATZと同時に発現させることでオートファゴソームを蓄積させた状態での蛍光観察を試みたところ、GFP-LC3で標識されたオートファゴソームとATZの共局在が観察された。 これらの結果から、オートファジーによる分解経路がATZの蓄積を防ぐ上で重要な役割を果たすことが示された。もう一つの主要な細胞内タンパク質分解経路であるユビキチンプロテアソーム系がATZの分解に働いていることが以前に報告されているが、オートファジー活性の欠損した状態ではユビキチンプロテアソーム系による分解も滞る可能性が今回示唆されたため、今後の課題として明らかにする予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Autophagy defends cells against invading group A Streptococcus.2004
Author(s)
Nakagawa I, Amano A, Mizushima N, Yamamoto A, Yamaguchi H, Kamimoto T, Nara A, Funao J, Nakata M, Tsuda K, Hamada S, Yoshimori T.
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Journal Title
Science Nov 5;306
Pages: 1037-1040