2005 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエにおけるエピジェネティックな遺伝子発見維持の機構
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03J02801
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
霜島 司 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系・形質遺伝研究部門, 日本学術振興会特別研究員
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Keywords | クロマチン / エピジェネティクス / 転写因子 / 体節形成 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
これまでにFLAG-GAGA因子と相互作用するdFACTの機能解析から、クロマチン鋳型の転写伸長促進因子として知られていたFACTが、GAGA因子と共にHox遺伝子群のエピジェネティックな発現維持制御にも関与することを報告している。予想されるGAGA因子と相互作用するTrithoraxグループタンパク質やクロマチンリモデリング因子を単離するため、FLAG-GAGA因子、FLAGタグ付きdFACTを発現するトランスジェニックショウジョウバエを用いて、穏和な条件下で精製を行ない、多数の相互作用すると考えられるタンパク質を単離した。単離されたタンパク質の解析から、GAGA因子は複数のクロマチンリモデリング因子と相互作用していることが示唆された。このことからGAGA因子は複数のリモデリング因子を使い分け、遺伝子の発現制御を行っていることが考えられる。 GAGA-dFACT complexと相互作用するリモデリング因子の中でbrahma complexに着目し解析を行った。ショウジョウバエbrahma complexはヒト等と同様2種類存在しており、ユニークなサブユニットの特異的抗体を用いた免疫沈降実験から、GAGA-dFACT complexは一方のbrahma complexに高い親和性を有していることが明らかとなった。brahma、GAGA因子、dFACT各変異体を用いて、Hox遺伝子群の発現に与える影響を調べた。胸部、腹部のホメオティック変異を観察したところ、単独変異体に比べ、多重変異体では変異の頻度が上昇する傾向が観察されたことからGAGA-dFACT complexとbrahmaとの間の遺伝学的相互作用が示された。ChIP解析からは、GAGA-dFACT complexとbrahma complexがこれらHox遺伝子の制御領域の存在していることを明らかにした。これらの結果は、昨年のCold Spring Harbor Laboratory meetingにて発表した。 現在、GAGA-dFACT complexと特異的に相互作用していると考えられるbrahma complexのユニークサブユニットのRNAi flyを作成している。このfly lineを用いた遺伝学的相互作用の解析結果がまとまり次第、論文にまとめる予定である。
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Research Products
(1 results)