2005 Fiscal Year Annual Research Report
電界効果を利用したキャリヤー制御による有機物強相関電子系の研究
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03J02833
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
鴻池 貴子 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノマテリアル研究所, 特別研究員PD
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Keywords | 有機伝導体 / 磁場誘起超伝導 / 量子振動 / 比熱 / 磁気熱効果 |
Research Abstract |
1.初年度に確認した磁場誘起超伝導体κ-(BETS)_2FeBr_4の類似物質、κ-(BETS)_2FeCl_4、κ-(BETS)_2GaCl_4についての、磁場下での電気抵抗の測定を行った.量子振動の測定から求めた両物質の有効質量はほぼ同じで,κ-(BETS)_2FeBr_4の半分程度であることがわかった.この結果と,BrからClへの置換により両物質ではchemical pressureがかかった状態であることを考慮すると,有効質量に寄与するのは伝導電子と局在スピンとの間の相互作用ではなく,電子相関の強さであると考えられる. 2.κ-(BETS)_2FeBr_4の量子振動の振幅に大きなヒステリシスが見られることがわかった.冷却後の初めの磁場スイープでのみ大きな振動振幅が観測され,これ以降ディングル温度が上昇することから,いったん高磁場をかけて常磁性状態にした後に低磁場側に戻すと,面間方向の反強磁性秩序に乱れが生じることが示唆される. 3.様々な濃度の局在スピンをもつY_<1-x>Ho_xNi_2B_2Cの低温、強磁場下での電気抵抗の測定を行ったが、この系での磁場誘起超伝導の発現にはいたらなかった。 4.20Tの希釈冷凍機で1軸回転可能な比熱測定系を立ち上げ,比熱や磁気熱効果の精密測定が可能になった.これにより有機超伝導体κ-(BEDT-TTF)_2Cu(NCS)_2のflux jumpや,κ-(BETS)_2FeBr_4の比熱の量子振動,さらに磁場誘起超伝導状態に対応する発熱や比熱の減少を初めて観測することに成功した.
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Research Products
(3 results)