2003 Fiscal Year Annual Research Report
木質構造躯体の劣化に与える水分停滞と温湿度環境の影響
Project/Area Number |
03J02849
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
相馬 智明 独立行政法人建築研究所, 材料研究グループ, 特別研究員(PD)
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Keywords | 木造住宅 / 劣化調査 / 温湿度 / 水分移動 / 腐朽 / 部材強度 |
Research Abstract |
本研究では(1)現存する木造住宅の劣化調査および文献調査により腐朽の発生に関する条件を絞り込むこと,(2)現場調査にて得られた腐朽した木質部材の強度試験を行い,腐朽度と部材強度との関係を明らかにすること,(3)水蒸気と液体の水の木造壁体内での移動をシミュレートし腐朽可能性を判断すること等を具体的な小課題としている。それぞれの小課題について研究実績を示す。 (1)腐朽発生条件の絞込み 現存する木造住宅の調査として,新潟県与板町の町営住宅,静岡県島田市の市営住宅および神奈川県横浜市のSH邸について劣化調査と壁体内外の温湿度測定を行った。確認された腐朽劣化は外壁仕様の違いに起因するものと判断された。現存する住宅の劣化調査はケーススタディとして重要であり今後も調査を行いデータの収集を続ける予定である。 (2)腐朽した木質部材の強度試験 劣化調査の際,いくつかの劣化部材を得ることができた。強度試験については今後の課題としているが,部材腐朽度の指標となる物理量を調査するため超音波電波速度,ドリル穿孔抵抗値,釘圧縮抵抗値の測定を行い,現場での測定を想定した可搬型機器による腐朽評価法を検討している。 (3)木造壁体内における水分移動シミュレーション 室内外の温度変動から壁体内の温湿度および壁体を構成する木質部材の含水率を予測するシミュレーションを行う。条件として与える温湿度データは(1)において実測された値を用いる予定である。本シミュレーションにより,壁体の仕様と与えられた温湿度変動との関係から,壁体内の木質部材の腐朽可能性を検討する。これまで実測された温湿度および部材含水率のデータは対象物件の管理機関との兼ね合いから測定期間が最長でも1ヶ月と短く,シミュレーションには1年程度の期間の測定を必要としており,適当な調査物件を探索中である。
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Research Products
(1 results)