2003 Fiscal Year Annual Research Report
マックス・ヴェーバー社会理論の批判的再構成と現代社会分析への展開
Project/Area Number |
03J02874
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
三苫 利幸 東京外国語大学, 外国語学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヴェーバー / 行為 / 資本主義 / 概念的変化 |
Research Abstract |
ヴェーバーの「行為」論の変化および大戦後の「行為」論の意義を明らかにするために、まずは、「行為」論の基礎となる、20世紀初頭に発表された概念論である『社会科学および社会政策の認識の「客観性」』(以下『客観性』)の成立事情を探った。具体的には、『客観性』が掲載された雑誌『社会科学・社会政策アルヒーフ』の創刊前後の事情から研究を進めた。ヴェーバーが重い精神疾患から立ち直り、いかにしてみずからの概念論を構築していったのか、それを雑誌創刊から見える、大きな思想的な流れを考えつつ、追究していった。 また、第一次大戦前の論考『理解社会学のカテゴリー』および大戦後の論考『社会学の基礎概念』のあいだに見られる、概念的な異同についても研究を進めた。ヴェーバーは大戦の前と後で、たとえばゲマインシャフト-ゲゼルシャフトという概念を使用しながらも、その定義を根本から変更している。そうした変更は、多岐にわたるため、まずは逐一、どの概念がどう変更されたのか、あるいは、どの概念は温存されたのかを網羅的に調べる作業を行った。この変更が意味する内容については、次年度以降の研究課題としたいと考えている。 さらに、ヴェーバーの「行為」論を具体的なモノグラフにおいても研究するべく、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』初版(以下『倫理』)を、いわゆる資本主義精神起源論争のながれのなかで捉える作業を行った。具体的には、ゾンバルト、ブレンターノ、フォン・ベロウらとヴェーバーとの論争をふまえ、たんにヴェーバー個人の思想の一部分としてだけでなく、思想史というレベルでも『倫理』がどう位置づけられるのかを考察した。近々、論文として発表したいと考えている。また、資本主義精神起源論争が、日本ではどう受け止められたのかを河田嗣郎に注目しながら整理して論文とした。
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Research Products
(2 results)