2004 Fiscal Year Annual Research Report
マックス・ヴェーバー社会理論の批判的再構成と現代社会分析への展開
Project/Area Number |
03J02874
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
三笘 利幸 東京外国語大学, 外国語学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヴェーバー / 資本主義 / 概念変化 / 人権 |
Research Abstract |
ヴェーバーの20世紀初頭に発表された概念論である『社会科学および社会政策の認識の「客観性」』(以下『客観性』)の成立事情についてまとめた論文を発表し、『客観性』が掲載された雑誌『社会科学・社会政策アルヒーフ』の創刊前後の事情を明らかにした上で、さらに概念論の整理を進めた。具体的には『理解社会学のカテゴリー』と『社会学の基礎概念』のあいだの概念的な異同を逐一整理していくことを試みた。これは、概念的変更がヴェーバーのいかなる思想的変化を示すのかを探る基礎作業となる。 また、いわゆる資本主義精神起源論争のなかにヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を位置づけ、ゾンバルト、ブレンターノ、フォン・ベロウらとヴェーバーとの論争を追跡した。資本主義精神論をめぐるひとつの思想史として論文にまとめたいと考えている。さらにそこから派生して、資本主義精神起源論争が日本ではどう受け止められたのかを河田嗣郎に注目しながら整理した論文も発表した。 さらにヴェーバーの「人権」概念についても著作横断的に研究を進めた。イェリネックの人権概念の影響を受けたヴェーバーに弱者にたいする人権を重視する立場を読み取る研究がある一方で、ヴェーバーは人権概念を否定的に捉えていたとする研究も存在する。そうした両極に分裂した研究状況に鑑み、ヴェーバーの人権概念について内在的かつ思想史的に捉え直すことを試みた。近々論文にまとめるつもりである。
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Research Products
(2 results)