2003 Fiscal Year Annual Research Report
地方財政から見た市町村の最適人口規模を、地域住民の厚生から評価・導出する
Project/Area Number |
03J02888
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
古川 章好 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地域 / 最適人口規模 / 地方財政 |
Research Abstract |
まず、前年度までに進めていた都道府県の地方分権に関する研究を引き続き行った。この研究では、Granger因果テスト、Wavelet平滑化法を用いて「地方分権」の意味を再考してみることを目的としている。これらの成果を「地方分権とは何か-WISAMを用いた分析-」としてまとめ、日本統計学会で報告したその学会報告でのコメントを元に論文に加筆・修正を加え、現在学術雑誌に投稿中である。 次に、最敵人口規模に関する先行研究の調査・収集を行った。これらの先行研究を調査した結果、最適人口規模の研究では、住民に対する行政サービス水準が考慮されていないこと、地域別で最適人口規模の分析が行われていないという二点の問題点が明らかとなった.そこで、この二つの問題点を考慮するために、費用最小化が達成される最適人口規模と行政サービス水準最大化が達成される最適人口規模を地域別に導出することを試みた。分析の結果、費用最小化では各地域の人口規模は最大で約2倍の格差が存在し、また、行政サービス水準最大化では回帰式の推定が上手くいかず、行政サービス水準を考慮する必要はないことが明らかにされた。これらの分析結果は論文「地域別の最適人口規模」の形にまとめ、日本財政学会で報告した。学会でのコメントを参考に、論文に加筆・修正を行った。その論文は近日『オイコノミカ』に掲載予定である。 さらに最適人口規模に関する理論モデルを、地方政府の視点から分析を行っているものを中心として調査・収集した。その結果これまでの分析では、地方政府の供給する地方公共財は消費目的の公共財を想定しており、その公共財が直接外部効果を発生するものとして分析が進あられていることが分かった。これらの問題点に対処するために、地域住民の効用を最大とすることを目的として・社会資本が生活基盤、生産基盤双方の側面から地域住民に与える影響を考慮しながら、最適人口現模の導出を試みた.この研究成果は近日中に論文の形でまとめ、学会で報告する予定である。
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Research Products
(1 results)