2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03020
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
安部 航 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 宇宙線反陽子 / 二次起源 / 一次起源 / 南極周回 / 原始ブラックホール / 気球実験 / 宇宙線測定器 |
Research Abstract |
宇宙線反陽子の大部分は宇宙線と星間物質との衝突反応で生成される二次起源成分からなるが、低エネルギー領域において二次起源成分に予測される流束より若干の過剰が観測されている。この過剰分は原始ブラックホールの蒸発などの未知の現象から生成される一次起源反陽子成分である可能性が指摘されているが、これを確認するためにはこれまでよりさらに精密な観測を行うことが必要である。本研究では、南極という磁極に近く低エネルギー宇宙線観測に最適な場所において、10日間以上という長時間の飛翔実験を行い、非常に高精度な低エネルギー反陽子流束を測定することを目的としている。 チェレンコフカウンターの組み立てを終え、改良の終わった中央飛跡検出器と共にBESS測定器への組み込みを行った。組み込み後地上で行われた宇宙線観測により、測定器の性能の評価を行い、予定通りの性能が発揮されていることを確認した。2004年7月に組み立て準備を終えた測定器について最終噛み合わせテストを問題なく終わらせ、測定器を南極へと送り出した。 南極での飛翔実験は2004年12月に行われた。 アメリカテキサス州パレスティンにある衛星通信の中継基地からの測定器との通信と、測定器のコントロールについても問題なく行われ、8日間と17時間の宇宙線観測に成功した。ハードディスクに保存されたデータ、測定器共に問題なく回収が行われ、現在持ち帰ったデータの解析を行っている。
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