2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物のプログラム細胞死発動制御機構におけるシアン耐性呼吸鎖の関与
Project/Area Number |
03J03045
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川上 佐知子 神戸大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | プログラム細胞死 / シアン耐性呼吸鎖 / エリシター |
Research Abstract |
エンバク葉にエリシター処理した際に生成する活性酸素が、programmed cell death (PCD)誘導する過程において、alternative oxidase (AOX)に及ぼす影響についての解明を初および次年度の計画としていた。しかし、現段階では、エンバク葉を用いたAOXの活性及び遺伝子誘導についての検出が困難なため、プロトプラストや、懸濁培養細胞などモデル系の作出を検討中である。そこで、PCDとAOXの関与について新たな知見を得るために、暫定的にジャガイモ懸濁培養細胞を用いて検討した。 まず、PCDの関与している活性酸素のうち過酸化水素(H_2O_2)について注目した。各種酵素阻害実験より、H_2O_2消去酵素のうち、アスコルビン酸ペルオキシダーゼはエリシター処理時のH_2O_2消去にはあまり関与せず、カタラーゼ(CAT)が大きな役割を果たすことが明らかとなった。また、CAT阻害剤処理のみではAOX遺伝子発現は見られなかったが、CAT阻害剤処理後、さらにエリシター処理した際には、AOX遺伝子発現が見られた。また、蛍光色素によりミトコンドリアの損傷(JC-1)、およびH_2O_2の生成(DCFH)を測定し、死細胞率について検討した。その結果、AOX, CATの双方を阻害し、エリシター処理した細胞でのみ、H_2O_2の増加、ミトコンドリアの損傷、細胞死が増大した。しかし、両酵素のうち一方を阻害しエリシター処理した細胞ではエリシター処理のみの細胞と差異はみられなかった。以上より、エリシター処理により増大したH_2O_2は、AOXとCATの両酵素によって制御されている可能性が示唆された。
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