2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物のプログラム細胞死発動制御機構におけるシアン耐性呼吸鎖の関与
Project/Area Number |
03J03045
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川上 佐知子 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | シアン耐性呼吸鎖 / 活性酸素 / プログラム細胞死 |
Research Abstract |
本研究では、病原菌感染時を想定してPCDへと移行する初期段階のトリガーがどのようにして起こるかを解明する糸口としてprogrammed cell death(PCD)と呼吸鎖の副経路であるalternative pathwayの関与について、ジャガイモ懸濁培養細胞を用いて検討し、以下の結果を得た。 (1)β-グルカン処理および過酸化水素(H_2O_2)消去系酵素阻害剤処理した際の細胞内のH_2O_2含量を測定した結果、β-グルカンを処理するとH_2O_2が誘導されるが、細胞質ではカタラーゼが、ミトコンドリではAOXによって制御されていた。(2)ミトコンドリア電子伝達系のalternative pathwayに関わる酵素であるAOXの発現について、β-グルカン処理により発生したH_2O_2はAOXの発現に関与していた。(3)AOX, CATの双方を同時に阻害し、β-グルカンを処理した細胞で、最も活性酸素(H_2O_2)の生成が増大した。(4)エリシター処理した際に発生したH_2O_O2の起源は、NADPHオキシダーゼが活性化されて生成するスーパーオキサイドがSODによって不均化され、まず細胞室内に過酸化水素が発生し、それが拡散作用によりミトコンドリアに損傷を与えた結果、PCDが起こっている可能性を見出した。(5)PCDの指標として用いられるDNAラダー化については、AOX, CATの双方を阻害し、β-グルカンを処理した細胞で、最も顕著なラダー化がみられた。(5)細胞全体の呼吸量、及びチトクローム経路の活性は、細胞内でのH_2O_2含量に比例して減少したのに対し、AOXの活性はH_2O_2含量に伴って増加した。 以上より、病原菌感染時に発生するH_2O_2は、PCDのシグナル分子として働くが、AOXとCATの双方によって厳密に制御されていることが示唆され、さらに誘導されたH_2O_2はミトコンドリアの呼吸鎖にも悪影響を及ぼすことが示唆された。
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Research Products
(1 results)