2003 Fiscal Year Annual Research Report
黒毛和種の遺伝的多様性の評価と維持システムに関する研究
Project/Area Number |
03J03125
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
本多 健 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 遺伝的多様性 / 黒毛和種 |
Research Abstract |
本年度は血統分析を用いて,1960年から2000年までの黒毛和種品種の遺伝的多様性および遺伝的構造の変化を調査した.多様性のパラメータの一つである有効な始祖個体数は,1960年から80年にかけて418.6から96.2まで大きく減少しており,系統間選抜が当時の品種の多様性を低下させていたと考えられた.同品種の多様性は1980年以降さらに急速に減少しており,近年の同品種がもつ多様性はわずか7-8頭の血縁関係をもたない個体が生み出すことのできる多様性にしか相当しないという知見を得,この多様性の大きな減少の要因は少数種雄牛への供用の集中によって生じるボトルネック効果であることをつきとめた.また,この供用の偏りは品種の遺伝的構造を大きく変化させ,近年の同品種の遺伝子プールは兵庫県の始祖個体を起源とする遺伝子に著しく依存している現状を明らかとした.一方,gene dropping simulationを中国地方の代表的な始祖個体に適用した結果,現存集団に対して遺伝的寄与が小さくなりつつある始祖個体の中にも,遺伝子を高い確率で伝達させている始祖個体も数多く存在することを明らかとし,これらの遺伝子が今後の多様性の維持に有効に活用することができることが示唆された. 本研究はさらに上記の血統分析に加えて,特定の祖先個体に由来する対立遺伝子を,指定した現存個体が同祖的ホモでもつ確率,2個もつ確率,および1個もつ確率を求めることができるようにgene dropping simulationの改良を行った.このシミュレーションを,全国和牛登録協会および農林水産省が取り組んでいる同品種における遺伝的多様性の維持事業で指定された31頭の祖先個体に適用し,これらの祖先個体に由来する遺伝子を保有する可能性の高い現存個体の特定を行った.
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Research Products
(1 results)